ロジャー・フェデラーが共同開発者として参加し、衝撃的なタキシードスタイルの新Pro Staffを創り上げたことは、すでにご存じだろう。
実は、もう一つ、フェデラーのために新たに創られたものがある。それこそ、2016年版「チャンピオンズ・チョイス」である。ウイルソンの"New NATURAL"、ルキシロンの"ALU POWER ROUGH"という組み合わせのハイブリッド張り用ストリングだ。
そもそも、フェデラーの場合、縦糸にナチュラルを横糸にポリという選択をしている。縦糸にナチュラルを用いると、打球感が良くなり、タッチもよくなる。コントロールは、オールラウンダーのフェデラーにとっては生命線。だからこその選択なのだろう。 ちなみに、フェデラーは、ツアーの中でもハイブリッド張りの先駆者的ポジションにある。 「2002年にハイブリッドを使いはじめて、スピンとコントロールが向上しました。そのころから数々のタイトルを勝ち取ることができるようになりました」と語るフェデラー。
きっかけは、かつてサーブ&ボレーを武器に活躍したティム・ヘンマン(イギリス)にすすめられたところから。試してみたフェデラーは、すぐにハイブリッド張り信者になったわけだ。プレーヤーの中でもフェデラーは、もちろん一目置かれる存在。さらに勝ち続けるわけだから、"フェデラーのストリンギング"として、たちまちツアーを席巻することになったというわけだ。
そして新たに生まれ変わった「チャンピオンズ・チョイス」。前作とは、どこに違いがあるというのか? それは縦糸に使われているナチュラルの素材が変わったというのだ。
そもそも現代のナチュラルは牛の腸などの筋繊維を原材料に作られている。この新しいナチュラルの素材は、牛の腸は腸でも、オーガニック・グラス・フェド・カウ(牧草のみで育てられた牛)の腸を使用しているのだという。その特性はいずれ詳しく紹介するが、打球感、テンション維持性能がより良く発揮できる素材なのだという。「近年ではストリング・テクノロジーとラケットが進化をしている。常にウイルソンとルキシロンをテストしつつ、最高の組み合わせを選んでいます」。とフェデラーがテストを重ねた結果選んだ新セッティングが商品となったというわけだ。
フェデラーのフィーリングを味わってみたいなら、「縦にはガット(ナチュラル)を張り、横にはAlu Power Rough」を「テンションは約26kg(≒57ポンド)」に。それが"チャンピオンのチョイス"である。
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