プロのラケット選びに学べ

プロのラケット選びに学べ

“打球感”にこだわるのではなく、“何をしたいか”でラケットを選ぼう!

ラケットの買い替えに関するアンケートをとると、「新しいラケットに求めるものは?」という質問に対し一番多いのが「打っていて気持ちがいいもの」、「自分の好きな打球感のもの」という回答だ。この"打球感がいいもの"というのは人それぞれの捉え方があり、当然、ハードヒットするタイプとタッチ感覚を重視するタイプのプレーヤーでは好みの打球感が違う。こうしたニーズが多いことはラケットを開発する側のメーカーも考慮していて、それに応えるためにフェース面、バランス、ウエイト、フレーム厚、しなり、反発などさまざまな工夫が施された数々のモデルが市場に流通している。錦織圭感覚に大きく左右されるため一見捉えどころのない"打球感"だが、少し自分で調べたりショップ店員に相談すれば好みのモデルを見つけるのはそれほど難しいものではない。例えば"黄金バランス"と言われるラケットは、ユーザーの好みのど真ん中を 集約したもので、これを基準に自分好みの方向にモデルを絞っていけば"好きな打球感"のラケットに出会えるはずだ。

しかし、ここで疑問なのが"自分の好きな打球感のモデル=試合で勝てるモデルorうまくなれるモデル"なのかということ。テニスは、自分が打ったボールが相手にどのような影響を与えるかでポイントが決まることが多い競技。ということは、自分の感覚よりも相手のイヤがることができるほうを優先したほうが試合に勝てるということ。また感覚は良くても、例えば展開するためのスピンがうまくかけられなければ、当然打つ手が限られてしまう。これでは、自分で上達レベルの限界を低くしているようなものだ。

錦織圭では、プロは何を基準にラケットを選んでいるのか? と選手に聞くと、「自分の武器を生かせるラケット」と特徴を伸ばす派と、「自分が今必要としているショットが打てるラケット」と課題クリア派の2タイプに分けることができる。一戦一戦が真剣勝負ならではのプロの回答と見ることができるだろう。

例えば、錦織は「頭(ラケットヘッド)にパワーがほしい」と言うとおり、ハンマーバランスにこだわるタイプ。元々スピンをかけてクレバーな戦術で戦うタイプのため、ラケットには海外の体格のいい選手の威力に負けないパワーを求めているのだ。それがラケットヘッドを返しやすいハンマーバランスであることで、得意のスピンをかけつつもスピードのあるボールを打つことを可能にしている。錦織は「自分の武器を活かせるラケット」を選び、特徴を伸ばす派と言えるだろう。

またフェデラーは、年齢からくるパワーの減少を自覚してか「もっと飛ぶラケットがほしい」というリクエストをウイルソンにしてきた。それを受けて開発したのが、中央部分のグロメットの幅を1mmずつ広げた、現在フェデラーが愛用しているPRO STAFF 90。フレームのスペックを変えることなく、ストリングの幅を広げることでボールの飛びを調整したのだ。

錦織圭さらに伊藤竜馬はウイルソンファミリーに仲間入りする際、「もっとコートの幅を使ったプレーができるラケット」というリクエストを出した。そもそも球足の長いドライブ系のパワーショットで相手にプレッシャーをかけることができる伊藤は、スピンをかけてアングルを狙うなど相手をコート外に追い出す展開が自分の課題と考え、そうしたことを少しでもサポートしてくれるラケットをウイルソンに依頼したのだ。フェデラー、伊藤は「自分が今必要としているショットが打てるラケット」を選ぶ、課題クリア派と言えるだろう。そして彼らのラケットを開発しているウイルソンに聞くと、それらの要望は日々強いものに進化しており、今も次のモデルの開発が進められていると言う。

このように、"試合に勝つため"、"自分のレベルを上げるため"ということを基準にラケットを選ぶと、現在"打球感"にこだわっているプレーヤーほど新たなことが発見できテニスがより楽しく、そして面白くなる可能性は高い。




錦織圭、フェデラー、伊藤竜馬 3選手が使用するラケット
STeam PRO PROSTAFF 90 STeam 100
  • STeam PRO
    (錦織圭使用ラケット)
  • 価格: 35,700円
    (本体価格34,000円)
  • フェース面積: 95平方インチ 
    フレーム長: 27.25インチ
    フレーム厚: 22.0mm 
    ウェイト: 平均309g
    バランスポイント: 325mm 
    グリップサイズ: G2・G3
    ストリングパターン: 16×20
  • PROSTAFF 90
    (R.フェデラー使用ラケット)
  • 価格: 36,750円
    (本体価格35,000円)
  • フェース面積: 90平方インチ
    フレーム長: 27.0インチ
    フレーム厚: 17mm
    ウェイト: 平均339g
    バランスポイント: 305mm
    グリップサイズ: G2・G3
    ストリングパターン: 16×19
  • STeam 100
    (伊藤竜馬使用ラケット)
  • 価格: 31,500円
    (本体価格30,000円)
  • フェース面積: 100平方インチ
    フレーム長: 27.25インチ
    フレーム厚: 23.0mm 
    ウェイト: 平均295g
    バランスポイント: 320mm 
    グリップサイズ: G1・G2・G3
    ストリングパターン: 16×20