錦織 圭、日本人最高位の30位に!

2011.10 :: 錦織 圭、日本人最高位の30位に!

錦織 圭、日本人最高位の30位に!

今年年頭の全豪で、「今年の目標は、まずはできるだけ早くトップ50までランキングを上げていくこと。そして、できれば30位くらいまでランキングを上げたい」と語っていた錦織 圭。右ヒジの手術で約1年ツアーから離れていたため、本格的にツアー復帰したのが10年の全仏。それから約半年が経ち、右ヒジの不安がまったくなくなった今年、開幕戦のチェンナイ大会でチリッチ、ファラを破ってベスト8まで勝ち上がった錦織は、自分のテニスに手ごたえを感じていたのだろう。それを裏付けるかのように全豪でも3回戦まで進出し、2月のデルレイビーチ大会ではブレイクやスウィーティングを破ってベスト4。4月にはヒューストン大会で準優勝し、全仏前の5月2日にはランキングを46位まで上げていた。

錦織 圭、日本人最高位の30位に!ここまでは、錦織が描いた青写真の通りだった。開幕から5ヵ月で、目標の第一段階である50位をクリア。しかも46位というランキングは、オープン化以降ランキング制度が確立されてから日本人が獲得した最高位タイ(松岡修造が92年7月6日にマーク)。錦織はプロ転向時に「No.1になりたい」と究極の目標を掲げているが、同時に『プロジェクト45』というチーム体制を作り、まずは松岡修造が持つ46位を越えることをテーマとしていた。5月の時点でその松岡に並んだのだから、錦織が45位以上になるのは時間の問題と思われた。しかし、7月の日本×ウズベキスタン戦でシングルス2戦、ダブルス1戦とフル出場したため(全勝)、その疲れが右肩にたまり約1ヵ月間の戦線離脱を余議なくされる。これまでも、錦織は右ヒジだけでなく、腰や腹筋を痛めてツアーから離れなければならない時期があり、今度もケガに勢いを削がれてしまったかたちとなった。
それでも、やはり錦織が持っているポテンシャルは高かった。全米前のウインストン・セーラム大会でベスト16に入ると、9月のクアラルンプール大会では第1シードのアルマグロ(11位)を破ってベスト4。楽天ジャパンオープンでは第3シードのフェレール(5位)に1回戦負けを喫したが、翌週から始まったグランドスラムに次ぐ大会規模のマスターズ1000上海大会でベスト4に入ったのだ。

この上海大会、錦織は1回戦から大接戦の連続だった。1回戦では、フラット系のサーブとフォアが武器のハーセ(40位)に第1セットを6-0と奪われ、第2セットも4-1とリードされたところからの逆転勝ち。2回戦は、第4シードのツォンガ(8位)に第1セットを奪われてからの逆転勝ち。3回戦もジラルドとのフルセットにもつれ込む接戦を制しての勝利だった。2回戦に勝った時点で、翌週の月曜日(10月17日)に発表される錦織のランキングが45位以上となるのは確実だったのだが、錦織は前述のように続く3回戦でツォンガに勝っただけでなく、4回戦では第12シードのドルゴボロフ(18位)にストレート勝ち。トリッキーだが安定感のあるプレーをしてくるドルゴポロフに対し、「たくさんスライスを打ってくるのは分かっていたから、最初から気を付けていた。攻めすぎないように落ち着いて対処できた」と、ポイントどころを押さえて6-4、6-3で勝利。ランキングが遥かに上の選手と対戦する時、落ち着いていつものペースでラリーをするというのは難しいことなのだが、それをトップ10のツォンガ、トップ20のドルゴポロフを相手にしてできるのが今年の錦織の強さの大きな要因となっている。これは今年から掲げていた「ステディなプレー」と、元々持っていたドロップ ショットを打ったり、ネットに詰めたり、得意のフォアを打ち込んだりと いう クリエイティブさを発揮するテニスを手に入れたこその結果なのだ。

続く準決勝では第2シードのマレー(4位)にストレートで敗れたが、今回のベスト4進出で最新ランキングは30位(10月17日付)に。「マスターズ1000という大きな大会でベスト4に入ったことで、自己最高位をマークし、さらに日本人としても最高位になれたことはすごくうれしい」というコメントもしながらも、「僕は体格もそんなに大きくなくてパワーもないけれど、ボールに追い付くフットワークはそうした選手に負けていないと思う。また、ボールもただハードヒットするだけでなく、緩急をつけてパワーのある選手が続けてハードヒットができないように工夫していますし、ジュニアの時から、そうして自分より体格がよくてパワーのある選手とずっと戦ってきたから、もう慣れています。ケガなくプレーすることができれば、もっとランキングを上げられると思う」と、まだまだ上を狙う貪欲さも忘れていない錦織。このまま30位以上をキープしていれば来年の全豪ではシードが付くことになり、そうなると早いラウンドでトップ選手に当たる可能性がなくなるため、さらに上位進出が可能となる。これまでも全米ベスト16などのサプライズを日本のファンに届けてくれていた錦織。次は、どんなニュースをもたらしてくれるのか楽しみだ。


また、Wilson担当者の「今回の活躍って、自分では何が一番の理由だと思う?」との質問に対して、「別に何か特別なことをしたわけじゃないんですけど、自分の場合いつも突然結果が出てくるので、調子が悪い時でもいつかいい時がくると信じてやっています。」と語った錦織。