錦織 圭が選んだ「僕の2014年 BEST 3」

錦織 圭が選んだ「僕の2014年 BEST 3 Games」

錦織 圭が選んだ「僕の2014年 BEST 3 」 「初めてのツアー・ファイナルズ初戦で、    これまで勝ったことのないマレーに勝てた」

錦織圭2週間前に行われたマスターズ1000パリ大会で『ベスト4に入れば最終戦の出場が確実になる』という中、見事準決勝に進出し最終戦へのチケットを手にした錦織。「最終戦に出ることは、2014年の目標の一つ」と公言するくらい思いの入れの強いツアー・ファイナルズへの出場を決めたのは良かったのだが、抽選の結果、ラウンドロビン(総当たり戦)の初戦で戦うことになったのはアンディ・マレー。ここまで3戦全敗と苦手にしていた相手だ。
錦織がこれまでマレーに勝てなかったのは、ツアー選手中随一を誇る彼のディフェンス力を突破できなかったのが大きな要因だったが、この最終戦での錦織は回り込みフォアでプレッシャーをかけ、マレーが後ろ目のポジションに下がったとみるやドロップショット。また、わざとセンターへリターンすることでマレーのストロークの角度をつぶすというクレバーなプレーを展開するなどし、6-4、6-4のストレートで勝利。今年の自身の成長ぶりをマレーに見せつけるとともに、「勝ったことのないマレーに勝てた」(錦織)ことで、今後対戦した時の自信となる一戦となった。

「最高のテニスでフェデラーに勝てた! プレーの内容もとても良かった」 フェデラーここまでフェデラーとの対戦成績は1勝1敗。初対戦の11年のバーゼル(ハードコート)では速いテンポで連続攻撃を仕掛けてくるフェデラーに完敗だったが(1-6、3-6)、球足が遅くなるクレーコート(2013年マドリード大会)では得意のラリー戦で主導権を握り勝利(6-4、1-6、6-2)。フェデラーそして迎えたこのハードコートでのマイアミ大会、『ハードだとフェデラーの攻撃力が上』ということを証明するかのように、回り込みフォアからの逆クロスとダウン・ザ・ラインで錦織にプレッシャーをかけるフェデラーが第1セットを3-6で先取する。そして第2セットもフェデラーが先にブレークし4-3フェデラー・アップとなったのだが、ここから「守っていては勝てない」と気持ちを切り替えた錦織が、フォアでフェデラーのバック側に強打するという展開が功を奏し、錦織が7-5でこのセットを奪い返す。そうして向かえたファイナルセット、錦織、フェデラーともにほとんどベースラインから下がらずライジング気味に強打を打ち合う見ごたえ十分の超高速ラリー戦となり、お互いのサービスキープが続いたのだが、フェデラー・サーブの第10ゲームで0‐40と錦織が3マッチポイント。ここからフェデラーに30‐40まで迫られるが、最後は錦織がバックから放ったクロスへのショットがそのままエースとなりゲーム・セット。試合後フェデラーは、「ケイは、まもなくトップ10に入るだろう」というコメントを残している(当時の錦織は21位)。

「グランドスラムという大舞台で彼に勝てたこと、そしてプレッシャーと体力的にも厳しい中ファイトできたことが嬉しかった」 ジョコビッチと対戦するのは2011年バーゼル以来、ほぼ3年振りとなった錦織(ここまでの対戦成績は1勝1敗)。ここまで、錦織はラオニッチ(4回戦)、フェレール(準々決勝)という強敵を連破して勝ち上がってきていたが、ジョコビッチも準々決勝でマレーを下し3年振りの2度目のUSオープン優勝を虎視眈々と狙っていた(12年、13年はどちらも準優勝)。錦織圭試合のほうは、「ラオニッチ戦とワウリンカ戦は試合の入り方が悪かったので、ジョコビッチ戦では前日夜からしっかり準備した」という錦織が第1セット3-3からブレークに成功し、このセットを6-4で先取。しかし、第2セットは錦織が「丁寧に振り回されてしまった」というほどジョコビッチのプレーがステディになり、このセットは6-1でジョコビッチ。第一シードの意地を見せた内容だった。それでも第3セットになると「早いタイミングでリターンしたのが有効だった」という錦織が先にブレークし5-3とアップ。

その後、すぐにジョコビッチにブレークバックされてタイブレークに突入するものの、そのタイブレークでは錦織が「トップ選手でも簡単にポイントを落としてしまうんだな」と振り返ったようにジョコビッチにイージーミスが続き、錦織が4-0とリードした流れを生かしてタイブレーク7-4で第3セットを奪取する。そうして勢いに乗った錦織は、ジョコビッチ・サーブの第4セット第1ゲームをいきなりブレークし主導権を握ると、5-4アップで迎えたジョコビッチ・サーブもブレークし、6-4で勝利。ここまで4回戦のラオニッチ戦で4時間19分の5セット、準々決勝のワウリンカ戦で4時間15分の5セットを戦い、このジョコビッチ戦は2時間52分の4セット。「正直、自分でもおかしいんじゃないかというくらい、体力面でこんなに強くなっているんだな、と実感しました」(錦織)と、フィジカル的に厳しい中で勝ち抜いたことが、さらなる自信となった試合だった。