錦織 圭「アカプルコ大会準優勝」

錦織 圭「インディアンウェルズ・ベスト16&マイアミ・ベスト8」

北米マスターズ1000大会2つをまずまずの戦績でフィニッシュした錦織 圭!ランキングは自己最高の4位に!!インディアンウェルズ初のベスト16入り

ATPツアーは、大きく分けてハードコート、クレーコート、芝コートの3つのサーフェスで行われているが、同じハードコートといっても『遅めのハード』と『速めのハード』では≪違うサーフェス≫と考えていい。そんな中、錦織がこれまでベスト32が最高成績(13年&14年)と「得意のハード」(錦織)の中でも苦手としているのがインディアンウェルズのハードコートだ。錦織曰く「コートが遅くて、すごく跳ねる。特にキックサーブがすごく高く跳ねる」とのこと。さらに「もともと飛びやすいボールのうえ、場所が少し高地なので、さらに飛びやすくなっている」(錦織)というのも、ラリーでゲームを作って主導権を握るコントロールプレーヤーの錦織にはマイナス要素で、逆にショートポイント戦に持ち込むパワープレー・タイプの選手には有利な条件が揃っている。

錦織圭とはいっても、第5シードがついた錦織。トップ5として貫禄を見せなければならないところでもあり、2回戦(1回戦はBYE)で地元アメリカのハリソンに6-4、6-4でストレート勝ちすると、3回戦では第28シードのベルダスコ(スペイン)に第1セットを6(6)-7で先取されながらも、続く2セットを6-1、6-4で連取し逆転勝ち。「最初はベルダスコがサーブでフラットとスピンをうまく組み合わせてきたのでタイミングがとれなかったが、第2セットからはコート内に入って打つことができるようになって、リターンが良くなった。また、ストローク戦では終始主導権を握れていたのも良かったと思う」(錦織)と、第5シードらしい落ち着きのある試合を展開しての勝利だった。

これでインディアンウェルズでは過去最高となるベスト16まで進んだのだが、それはあくまで記録上のことであり、くどいようだが第5シードの錦織としては『ベスト8以上は当たり前』でもあった。が、そんな錦織の前に立ちはだかったのが33歳のベテラン、ロペス。「以前は試合中のアップ&ダウンが激しかったけれど、今は一定のペースで戦えるようになったことで結果がついてくるようになった。また、今この時を楽しめるようになってきたのも良い結果をもたらしてくれていると思う」と言うロペスのサーブとボレーにパワーとキレがあり、錦織のほうも「全体的には悪いプレーではなかった」というゲーム内容だったが、「第1セットでブレークされたゲームだけ良くなかった。また第2セットのタイブレークでもミスが多かったのが残念」(錦織)と勝負どころを相手に押さえられて4-6、6(2)-7で敗退。

試合後、錦織は「まだ満足のいく内容にはなっていない。この敗戦を糧に、次のマイアミでは昨年もベスト4に入っていい試合ができているから頑張りたい」と気持ちを切り替えていた。

昨年ベスト4のマイアミはベスト8止まり
そうして迎えたマイアミ。こちらは同じハードでも錦織が得意な『速めのハード』で、12年と13年はベスト16、そして昨年はディミトロフ(16位)、フェレール(4位)、フェデラー(5位)と強豪を連破してベスト4入りし(当時、錦織は21位だった)、飛躍のきっかけをつかんだ大会だ(準決勝のジョコビッチ戦は古傷の左足付け根を傷めて棄権負け)。

今回フェデラーが欠場したため第4シードで登場した錦織は、2回戦(1回戦はBYE)でユーズニーに6-2、6-1で勝利して勢いに乗ると、3回戦はトロイツキを6-2、6-2で退け、4回戦はゴフィンに6-1、6-2で勝利。3戦合計で相手に10ゲームしか与えない圧勝劇で、錦織自身も「サーブ、リターン、ストロークのすべてで自信を持っていいプレーができている。ランキングも上がってきているので、昨年よりいいプレーができていると思う」とインディアンウェルズの時とはうってかわって絶好調。そのコメントを受けて、日本のマスコミは『初のマスターズ1000大会優勝か』と盛り上がっていた。

しかし、その錦織の希望を砕いたのが、208cmの長身から繰り出すスピード&角度のあるサーブと、大柄ながらフットワークが良く器用なボレーも打つことができるイズナー。12年4月に一度9位をマークしたあとは伸び悩み、23位までランキングを落としたこともあったが、「3月のデ杯イギリス戦でマレーに負けたけれど、いいプレーができたのが自信になった」(イズナー)と、インディアンウェルズではベスト16入り(ジョコビッチに敗退)。そして、このマイアミでは3回戦でディミトロフ(11位)、4回戦でラオニッチ(6位)に勝利すると、準々決勝では錦織に6-4、6-3で勝利。「今日はサーブの調子が良かったから楽にキープを続けることができた。だから、逆にリターンゲームを思い切りプレーできたのが良かったと思う」というイズナーに対し、錦織は「イズナーのサーブではまったくチャンスがなかった。彼とは初めての対戦なので、彼のサーブを読むことができなかったのも原因だと思う。またストロークでも、どんどんエースを狙いに来るからリズムが作れなかった」とコメント。その通り、イズナーのパワーに押し切られた試合内容だった。

それでもインディアンウェルズとマイアミのマスターズ1000の2大会を「2大会通してそんなに悪くない戦いができたと思う。自信になったし来年はもっといいプレーができると思うよ」と振り返った錦織。決して満足の結果ではなかったはずだが、そんな中でもランキングが自己最高の4位になったことで、何かツアーでの戦い方をまた一つ習得したようだ。