伊藤竜馬選手インタビュー

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2011.01 :: 伊藤竜馬選手インタビュー

すばらしいパフォーマンスを約束してくれるスーパーカーのようなラケット

昨年、8月に行われたブラジリア・チャレンジャーでチャレンジャー大会初優勝を飾ると、2010年最後の大会、豊田チャレンジャーでは添田 豪、杉田祐一と日本のライバルを倒してチャレンジャー2勝目を挙げた伊藤竜馬。これまでは「小学生時代から現在までずっと仲がいい」という1歳年下の錦織 圭とはランキングで大きな差をつけられていたが、2010年後半の勢いをみると、今年は少しでも錦織に近づく可能性が高い。

伊藤竜馬選手インタビューこの伊藤竜馬、最大の魅力は通称"ドラゴンショット"と呼ばれるフォアハンド。ほぼフラットに近いボールをピンポイントで相手コートに突き刺すボールは、スピードが速いだけでなく、バウンド後それほどボールが弾まないので対戦相手としては処理するのに一苦労。そうして相手からやっとの思いで返してきたところを、今度は高い位置からとどめのドラゴンショットでエースを取っていくのだ。また、本人が「実は、フォアよりバックのほうが安定感が高い」というバックは、球足の長いクロスだけでなく、アングル・クロス、ダウン・ザ・ラインへの切れ味が抜群。テニスでは、バックでのラリーが基本となり、そこからフォアでどのように展開していくかが強さのカギとなるのだが、伊藤はベースのしっかりしたバックでゲームを作り、ドラゴンシッョトでとどめを刺すのが得意パターンなので、まさに現代テニスにマッチしたプレースタイルといってもいい。 その伊藤竜馬が、飛躍の年になるであろう2011年、テニス選手がいちばんこだわるギア、ラケットをウイルソンに変更した。以前使用していたメーカーとの契約が昨年8月に切れて以来、数メーカーのラケットを試打していたようなのだが、その中から選んだのがウイルソンだったのだ。そしてモデルはTOUR BLX 105。錦織 圭が使用するTOUR BLX 95のフェース面が大きいものだ。このTOUR BLX 105を選んだ理由を、伊藤は次のように話す。

伊藤竜馬選手インタビュー「これまではボールにあまりスピンをかけず、コースを"線"で狙っていくようなショットを打っていたのですが、チャレンジャーやATPツアーなど上のレベルで戦っていくには、もっと細かく"点"で狙っていく必要があります。そのためにはボールにスピン回転をかけて"点"に落としていく必要があるのですが、ウイルソンのラケットがそうした僕が求めている軌道のショットを打つのにピッタリだったんです。特にTOUR BLX 105は、今までのラケットではアウトになるようなボールも、スピンがかかってくれるので最後に落ちて入ってくれます。また、ラリーをの相手をしてもらった人も『ボールが重くなっている』と言ってくれます」

伊藤が今年目標としているのは、USオープン時に本戦インできるくらいまでにランキングを上げること。伊藤は高校時代、全国選抜高校個人戦で優勝し、USオープン・ジュニアの予選にチャレンジしているが、そのとき予選を勝ち上がり、本戦2回戦まで進出している相性のいい大会だ。そうして本戦インするためにはランキングを100位付近まで上げることが必要だが、伊藤は「ラケットをウイルソンに変えたことで、僕が得意とするドラゴンショットの威力はそのまま、相手に攻め込まれたときやラリー中にもう少し粘りが出てくると思います。
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TOUR BLX 105は、スピンを強烈にかけたり、ドロップシッョトを打ったり、角度あるアングルを打ったりといった遊び心のあるショットを打ちやすいので、バリエーションが豊かになりゲームの展開力が増えると思います。2010年にチャレンジャーで2勝したことが自信になったので、今年はチャレンジャーでは常に優勝を狙う気持で臨み、ATPツアーやグランドスラムの予選にどんどん挑戦していけば、USオープンまでにランキングを100位前後までに上げることは可能だと思います」と手ごたえを感じているようだ。

伊藤竜馬選手インタビュー現在、日本男子は錦織がグランドスラムで頑張っているが、それに続く選手が出てきていないのが寂しいところ。魅力あるドラゴンシッョトを武器に、伊藤竜馬がその錦織に続きグランドスラムに出場し活躍してくれれば、日本のテニス界が盛り上がるのは間違いないだろう。