2005年の登場以来、多くのユーザーの支持を得ていたTRIADテクノロジー採用モデル「n3」。かつてはセリーナ・ウイリアムズも使用していたハイパフォーマンスモデルが、今、日本人ユーザーのために、現代風にアップデートさせて登場する。
あの名作ラケットが、アップデートされて日本で蘇る――。
女王セリーナ・ウイリアムズが使用。2005年の発売当時から爆発的人気を誇り、いまなお使用を続ける人も多い「n3」。実は、同モデルの復活を、期待する声は非常に多かった。その要望に応える形で、今回、日本で計画されたのが、n3を現代風にアレンジした「3.0J」。115平方インチだったフェイスサイズは、118平方インチにアップ。重量は250gと軽量。バランスポイントはトップヘビーの36.5cm。ボールをヒットしやすくし、操作性を良くしながら、パワーを出そうという意図が感じられる。日の丸カラーをまとった「3.0J」、そこにはどんな秘密が隠されているのか?
ウイルソンといえば、これまでも数々の革新的なテクノロジーをテニス界に送り出してきた。その歴史の中でも、エポックメイキングだったものが「TRIAD」である。
通常、テニスのフレームは一体型の1ピースで製造される。しかし、同テクノロジーでは、ヘッド部分とシャフトグリップ部分を分けて成型することで、「パワー」「コントロール」「打球感」、そのすべてを向上させることに成功している。その両フレームを1本のラケットに結合するのが、「アイソ・ゾーブ」と呼ばれる高衝撃吸収材だ。高層建築の基盤にも使われている耐震素材を加えることで、インパクト時に生じる不快な衝撃をヘッドから手元に伝わる前にシャットアウトするというわけだ。
もう一つフレームで注目したいのは、その素材。高い剛性を誇るバサルト・ファイバーより、さらに15%変形制御率が高く、40%も軽量になる新素材、ウルトラ・ハイ・パフォーマンス・カーボン・ファイバーを使用しているのだ。
特徴はそれだけではない。グロメットホールが横に長い「パワーホール」を採用している点も注目したい。同テクノロジーは、ボールとの接地時間を長くする効果があり、パワー、コントロール、打球感、すべてが高まるという長所が生まれる。小さなグロメットホールだが、これが大きな効果を生むわけだ。
118平方インチ、その軽さなどから、飛びを重視したラケットという印象を持つかもしれないが、かつてセリーナも使っていたラケットであるから、このラケットはスイングして当てることで、その長所をさらに引き出すことができる。 パワフルで、コントロール性がよくて、打球感がいい、n3をさらにアップデートさせた「3.0J」。使えば、その良さがわかるはずだ。
(編集長・ロジャー広の試打インプレ)
見た目に騙されてはいけない 振ることで良さが 引き出せる高性能な1本だ
フェイスの大きさと比べて、非常に軽い、というのはわかっていても驚き。また振り遅れたと思っても、しっかりボールに合わせて少し押すだけでも、十分いいボールが返せるだけのパワーがある。しかし、驚くのはスイングしていった際のボール。厚いフレームとパワーホールが相まっての効果か、軽い当たりでもボールを厚く捕らえている感覚があり、強いボールをはじき出せるのだ。特にトップスピンを意識すれば、質のいいボールが打ち出せる。弾きがいいので、スライスもいつものボールより、いつもより、一伸び、一滑りあるイメージだ。また、取り回しがよくボレーも打ちやすいのだが、何より118平方インチという安心感が素晴らしい。また、芯で捉えられず、響く!!...と思った時でも手元まで伝わってくる振動はほとんどない。アイソ・ゾーブってすごい。
118平方インチというと、もう一つのオーバーサイズ、ULTRA XP125と近いイメージを持つが、こちらはもっと飛び、パワーに特化したモデル。瞬時のプレーが求められるダブルスで、まちがいなくいいモデルだ。一方、3.0Jは、それだけでなく、自分から打っていきたい、という人に持ってこいだろう。
ターゲットはn3を使っていた、またはいまだに使い続けている女性プレーヤーかもしれないが、一般男性プレーヤーでもかなり使えるラケットではないだろうか。
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