どのくらいの頻度でストリングを交換するだろうか?
人によって言うことが異なるが、一般的には「ポリが2〜3ヶ月、ナイロンが4〜5ヶ月で張り替えた方がいい」と言う。なるべく頻繁に張り替えたいけれど、出費もかかる。物にもよるがストリング+工賃で、5,000円程度は必要だ。考えてみたらラケット価格の数分の一だし、美味しいステーキを食べた方がいいショットが打てちゃうんじゃないの? なんて冗談も言いたくなる。しかし、性能的にはラケットとストリングは50:50と言われるから、軽視はあまりよろしくない。デフレな世の中なので、出費は抑えたい、安いストリングにしたい、切れるまで同じでいいや! となる人が少なくないが、高めのストリングを定期的に張り替えていく人もいる。その人たちは知っているのである。それだけの価値があるということを。
テニスを職業とするプロたちは、もちろんそれをわかっている。だから、毎回張り替えるわけだ。ちなみに、プロ選手も張り替えの際は、工賃を支払うケースが多く、1本2,000円くらいが相場なようだ(ストリングは持ち込む)。1勝でも多く勝たないと“おまんまの食い上げ”なので、プロはストリングにこだわらないわけにはいかない。そのプロたちからの支持が最も高いのが、LUXILON「ALU POWER」シリーズであることは、先月号、先々月号でもお伝えしたとおり。他のブランドと契約しているプレーヤーですら、「ALU POWER」を使っている選手が多いというのだから、その人気は異常と言える。
だからこそ、あなたも「ALU POWER」を試してほしい。
「自分にはポリは無理」「上手い人が使うものでしょ?」と言いたくなる人もいそうだが、ウイルソンは今年、そんな方たちも試す価値があるオプションを用意した。それを打ってから、判断してもいいだろう。全豪を制したあの選手みたいに、「ALU POWER沼」にどっぷり浸かっちゃうかもよ!
そもそも「ALU POWER」は何が魅力か? 端的に言ってスピードとパワーである。しかし、ルキシロンショットという言葉があるように、スピンも特徴の一つだ。そして、フィーリングは、モッチリとしていて快感級。だから、プロもその虜になるわけだ。
ウイルソンが今回用意したのは、「ゲージ違い」、そして「新色」である。これまで「ALU POWER」は120と125、「ALU POWER SOFT」&「ALU POWER ROUGH」は125、「ALU POWER SPIN」は127というラインナップだった。そこに「ALU POWER」115、125(色違い、アイスブルーと呼ぶライトブルーカラー)、128(全仏カラー)、130(従来どおりのシルバーとアイスブルー)。「ALU POWER ROUGH」には130(アイスブルー)という新ゲージ、新色が加わる。
ウイルソンの提案というのは、ここからである。まず「ALU POWER」ユーザーに向けて、“打球感を変えずにもう少し飛びやスピンが欲しい”という方は、ぜひ細いゲージのものを試してみてほしい。逆に、耐久性、テンション維持性を高めたいというなら、太いゲージを試すといいだろう。日本人で唯一のウイルソンオフィシャルストリンガー細谷理氏によると「細いゲージにすると、面圧が高くなる。だから反発力が上がります。逆に太いゲージにすると、面圧下がり、乗っかり感が出ます。つまり打球感が柔らかくなるわけですが、飛びにくくなるため、パワーが必要になります」とのこと。ゲージを変えることで、微調整ができるわけだ。他社のストリング、他のストリングを使っている方は、まず同じゲージのもので試してみるといい。プロが惚れる理由を感じられるのではないだろうか?
もう一つ、ウイルソンからは提案がある。それはハイブリッド張りである。ハイブリッドというと、ナチュラルとポリというイメージを持つ人が多い。ウイルソンウェブマガジンの読者は、ご存知のはず。それだけではない!のだ。言葉の本来の意味は、縦横を異なるストリングにし、双方の特徴を生かすための張り方のことを指す。縦と横で異なる特徴のものを張ることで、単一ストリングだけでは得られない性能を味わうことができる。そして近年ツアーで増えているのが、ポリとポリのハイブリッド張り。“異なるストリング”であるから、同じ「ALU POWER」のゲージ違いでもいいし、もちろん異なる「ALU POWER」シリーズ、異なるゲージのものを組み合わせもいい。「ALU POWER」ユーザーは新たな世界を知ることができるはずだし、そうではない人も「ALU POWER」の魅力、奥深さを体感することができるはずだ。
いつものストリング代金に、プラスαを加えるだけ、そうすれば、あなたは新たな世界を感じられることだろう、ちょっと高いのには、それだけの理由がある。多くのプロ選手のように、「ALU POWER沼」にハマった人の気持ちも理解できるはずだ。
ゲージの太さは、一概にコレがベストというものではない。それを組み合わせて実際に売ってみたら、どうなるのか? テニスのショットを数値化する弾道測定マシーン「トラックマン」を使い、大学体育会プレーヤーを対象に、ゲージ違いハイブリッド張りの試打実験を行った。測定項目は①「SPIN(回転数)」 ②「SPEED(時速)」の2点である。
SPIN(回転数)※単位はRPM(回転/分) | ||||||
メイン(縦)×クロス(横) | テスター | |||||
A | B | C | D | E | 平均値 | |
130×130 | MIN 1668 |
MIN 1607 |
MIN 1770 |
1612 | 1825 | MIN 1696 |
130×115 | 1742 | 1689 | 1780 | 1748 | MAX 1835 |
1716 |
115×130 | 1843 | 1636 | MAX 1932 |
MIN 1567 |
MIN 1799 |
1755 |
115×115 | MAX 1850 |
MAX 1703 |
1819 | MAX 1787 |
1801 | MAX 1792 |
UP率 | 10.9%UP | 6.0%UP | 9.2%UP | 14.0%UP | 2.0%UP | 5.7%UP |
SPEED(時速)※単位はkm/h(時速) | ||||||
メイン(縦)×クロス(横) | テスター | |||||
A | B | C | D | E | 平均値 | |
130×130 | 134 | 141 | MIN 128 |
MIN 144 |
MIN 122 |
MIN 134 |
130×115 | 134 | MIN 137 |
135 | 151 | 123 | 136 |
115×130 | MIN 133 |
MIN 137 |
137 | 153 | 124 | 137 |
115×115 | MAX 135 |
139 | 139 | 148 | 129 | 138 |
UP率 | 1.5%UP | 2.9%UP | 8.6%UP | 6.3%UP | 5.7%UP | 3.0%UP |
スピンにおけるCとE、スピードにおけるBとDなど、太いゲージで好数字が出るケースもあったが、おしなべて見ると115×115で好結果が出るパターンが多かった。スピンでは、テスターDが最大14.0%もアップしている。一方、スピードではテスターDが8.6%とアップ。平均値では、スピンで5.7%UP、スピードで3.0%UPという結果が出ている。スピン、スピードを求めるなら細いゲージを試すと良さそうだ。一方、耐久性、テンション維持性能、打球感を求めるなら、太いゲージの方がベターだが、その分、スイング速度が必要となる。何を望むか? 人によっても結果が異なるというだけに、試す価値があると言っていいだろう。あなたもチャレンジしてみよう。
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