[2号連載企画] “BURN 100S CV×ULTRA 100CV” 黄金スペックモデル徹底比較! <ROUND 1 [数値編] >


「フェイス面積100平方インチ」、「ウエイト300g」、「バランスポイント32.0cm」といえば、黄金スペックの条件である。それは、さまざまなスペックを調整していった結果、たどり着いた最もパフォーマンスが高くなる数値ということだ。ウイルソンの中で黄金スペックの代表格といえば、一つは“回転×バーン。”をキャッチにリリースされたベースライナーモデルの「BURN 100S CV」、そして特に“ネットプレーでの優位性”を売りにしているオールラウンダーモデルの「ULTRA 100CV」である。 両シリーズを代表する2本は、どのように違い、どのような長所があるのか? 2回に渡って、その違いを明らかにしていこう。今回は、スペック上からわかる両モデルの特徴にフォーカス!


意図的に味付けされたSi数値
ウイルソンには、フレームのしなり量を表すスウィング・インデックス(Si数値)という独自の数値がある。この数値が大きいほど、フレームのしなりが大きく(柔らかい)、数値が小さいほどしなりが小さい(剛性が高い)ということだ。BURN 100S CVとULTRA 100CVは、ウイルソンのラインナップにおいては、同じミドルパワーレンジに位置するラケットだが、ターゲットプレーヤーや目標とするパフォーマンスのために、ラケットには微妙な味付けがされている。 このSi数値を比較すると、わずかばかりだが、BURN 100S CVの方が、ULTRA 100CVに比べると0.3ポイント数値が高い=しなりが大きいと言える。つまり、この数値だけを見ると、ULTRA 100CVの方がBURN 100S CVよりボールを飛ばす力は大きいことを意味する。 ただ、ウイルソンによると、この2つのモデルに秘められた味付けはそれだけではないようだ。




微妙なフレーム厚の違いが、しなりの違いを生み出す
どちらのモデルも、フェイストップ部分の厚みは23.0mmで同じ厚みだが、ULTRA 100CVは、BURN 100S CVよりもグリップ上部が0.5mm薄く、フェイス中央下部分が1.0mm厚い設計となっている。これにより、ULTRA 100CVはグリップ上部が支点となり、フェイス部はあまり大きくしならないと言えるだろう(フェイス部は厚い分しなりが小さい)。

一方でBURN 100S CVは(横から見ると)綺麗なひし形形状となっているが、ULTRA 100CVに比べるとグリップ上部が0.5mm太く、フェイス中央下部分が1.0mm薄い設計。ULTRA 100CVより、手元でのしなりは少ないが、フレーム全体がなだらかにしなると言える。これが打球にどう影響するかと言うと、ストローク時の大きいスウィングの場合は、BURN 100S CVの方が、鞭のようにしなり、打球にパワーを伝える。しかしリターンやネットプレー時のコンパクトなスウィングの場合は、ULTRA 100CVの方がしなりを感じることが出来、虫取り網で捕らえるような打球が打ちやすいと言える。(今一度言うが、Si数値では、BURN 100S CVの方がULTRA 100CVよりしなる設計である。)つまりしなり方を変えることで、発揮するパフォーマンスに変化を与えているのである。




BURN 100S CVは円形  ULTRA 100 CVは楕円形
「BLACK IN BLACK」シリーズBURN 100S CVはULTRA100 CVと比べると、丸いラウンド形状となっており、スウィートエリアを左右に広げている。これはベースラインからストローク、しかもスピンの効いた打球を打つ際にはスウィートエリアを左右に使うからである。また、横糸のストリングスの長さが長くなると、スナップバックの幅が拡大し、スピンを生み出しやすくなる。さらに、BURN 100S CVはSラケ(スピン・エフェクト・テクノロジー搭載モデル※1)のため、縦糸>横糸という18×16のストリングパターンとなっている。つまり、これらが相乗効果となりスピンの効いたストロークを打つ時に、凄まじいパフォーマンスを発揮することが想像できる。

一方でULTRA 100CVはBURN 100S CVに比べると、縦長の楕円形状になっている。つまりスウィートエリアを上下に広げているのである。これはネットプレー時に広いスウィートエリアを確保するとともに、ボディ周りのボールの処理を考慮されているのである。また、縦糸の長さはパワーと比例の関係にあり、そこに特殊グロメットのクラッシュゾーン※2が相まって、深く攻めるボレーが打ちやすいのもうなずける。

テクノロジー※1=ボールにスピンがかかる原理である、ストリングがズレて戻る動き(スナップバック)に着目し、横糸の本数を縦糸より少なくし、効率よくスピンを発生させるメカニズム。ウイルソンが特許を持っているテクノロジー。BURN 100S CVでは、ストリングのズレ幅が3.3倍増となり、ストリングスが戻る速度も69%UP。結果、回転量が10%UPしている。

CRUSH ZONE※2=フェイスの6時部分に搭載されたニューデザイン・グロメットとその中に組み込まれた「クラッシュゾーン」パーツ。インパクト時、このクラッシュゾーンがつぶれることで、ダンピング(ストリング面のたわみ戻し)が大きくなる。これにより、わずか1000分の3秒と言われるボールとの接触時間が増加。ダンピングが大きくなることで威力あるボールが飛び、球持ちが長くなることでコントロールがアップする。



スペックを読み解くことで 両モデルの対象プレーヤーが 正しいということが判明!

モデル BURN 100S CV ULTRA 100 CV
価格 ¥34000 ¥34000
重さ(ウエイト)
平均300g 平均300g
バランス
平均32.0cm 平均32.0cm
サイズ/レングス 27.00インチ 27.00インチ
フェイス面積 100平方インチ 100平方インチ
フレーム厚 23.0/25.0/23.0mm 23.0/26.5/22.5
ストリング・パターン 18x16 16x19
スウィング・インデックス(Si数値) 4.5 4.2
グリップ SUBLIME SUBLIME
グリップサイズ G2/G3 G1/G2/G3
適正テンション 50-60p 50-60p


BURN 100S CVは、(大きいスウィングの際に)しなることで打球にパワーを加えて、スナップバックが起こりやすい設計がスピンを生み出す。これは、ベースライン上から、またはそれよりも後方から強烈なスピンがかかった重いボールを打つためのセッティング。ベースライナーに向けて作られたものという証明とも言えるだろう。

一方、ULTRA 100CVは、(コンパクトなスウィングの際に) ボールを正確に捕らえる安定性に長けていて、相手のボールに負けないという特徴がある。さらに縦糸がたわむ設計が、サーブ&ボレーやリターン&ダッシュといった早めの展開で必要なタッチの感覚もサポートしてくれる。さらにリターンでも高速で的確なボールが打てる折紙付きで、オールラウンダーに向いたモデルということがわかる。 次号では実際にラケットを試打し、その感想からラケットの特性をさらに紐解いていくので、是非続きをチェクしてほしい。


BURN 100S CV / ULTRA 100CV
BURN 100S COUNTERVAIL ULTRA 100 CV
  • BURN 100S CV
    ¥34,000(税抜き)
  • フェイス面積: 100sq.inch
    レングス: 27.0inch
    Av.ウェイト: 300g
    Av.バランス: 32.0cm
    フレーム厚: 23.0-25.0-23.0mm
    グリップ・サイズ: G2,G3
    ストリング・パターン: 18x16
    適正テンション: 50-60p
    発売中
  • ULTRA 100CV
    ¥34,000(税抜き)

  • フェイス面積: 100sq.inch
    レングス: 27.0inch
    Av.ウェイト: 300g

    Av.バランス: 32.0cm 

    フレーム厚: 23.0-26.5-22.5mm
    グリップ・サイズ: G1, G2, G3 

    ストリング・パターン: 16x19 

    適正テンション: 50-60p
    発売中