とにかく、雨がよく降る全仏オープンだった。
大会1週目は、どのグランドスラムでも同じように、消化しなければならない多くの試合がある。そのため、運営側としても極力試合は続行したい。ところが、連日、断続的に雨が降ってしまい、試合は何度となく中断、そして延期に。2週目の月曜日には全試合延期という珍事(16年ぶり)も起きている。
その環境の中、集中力を持続しなければならない選手たちは、大変だ。雨が止んでコートに出てみたはいいが、少しプレーしてみたらすぐに雨が降ってくる... というシーンが大会中、何度となくあった。雨の影響を受けるのは、人間だけではない。例えばラケットのストリングス。ナチュラル・ストリングスは湿気に弱いものだ。大会中、通常では考えられない頻度でストリングスを切っている選手もいたことを考えると、湿気による影響は少なからずあったのだろう。
そんな中、ウイルソンのプレーヤーは、ストリングスのトラブルもなく、快適にプレーしていたという話がある。その秘密は"ギアを守る"というコンセプトから開発された「サーモガード2.0」採用のテニスバックにある。
影の主役は中に搭載されていた乾燥剤"シリカゲルペレット"である。プロのプレーヤーは、ナチュラル・ストリングスの使用率が高い。つまり、シリカゲルペレットが湿気を抑え、ストリングスのテンションロス、劣化を防いでいたということだ。ちなみに、水分を吸収すると緑色に変化するシリカゲルペレットは、電子レンジで適度に温めれば、元どおりオレンジに復活する半永久的に使えるスグレモノだ。
そんな小さなことで? と思うかもしれないが、その小さな差が勝敗につながるのがプロの世界。まして、最も大事なラケットにかかわるものだ。小さな差に見えるものは、実は大きな差だった、と言ってもいいだろう。
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