今年に入ってブリスベンで錦織を破って準優勝、全豪オープンでベスト8、ロッテルダムでベスト4と好調な戦績を残しているラオニッチ。この3大会とも負けた相手が優勝していることから(ブリスベンはフェデラー、全豪オープンはジョコビッチ、ロッテルダムはワウリンカ)、『たられば』ではあるがラオニッチが優勝していてもおかしくなかったといえる。
徐々にそのポテンシャルをはっきりと見せつけ始め、トップ10に定着してきたこのラオニッチが昨年後半から愛用しているラケットが、リニューアルされた新BLADE 98だ(発売は今年の1月)。従来モデルよりフレームが柔らかくなっている(しなるモデルになっている)のが特徴で、それにより球持ちの良さがアップ。これはラオニッチの「もっとインパクト時にボールがストリングに食いついている時間を長くしたラケットにしてほしい」というリクエストを受けて開発されたもので、今年の好成績はそれによるラオニッチのグレードアップを裏付けていると言えるだろう。
そして、もう一つ見逃してはならないのが、ラオニッチが使っているストリング。テニスでは『ラケット(フレーム)が50%、ストリングが50%の性能を担っている』といわれるぐらい≪どんなストリングを張るか≫も大切な要素で、ラオニッチが使っているのがM2 PRO。このストリングは、≪ハードヒットした時はボールにパワーを伝え、タッチショットの時にはフィーリングがいい≫という2種類の打球感を持ったモデルで、サーブとフォアではハードヒット、その後前に詰めてオープンコートへボレーで切り返すというラオニッチのプレースタイルを助けるためにあるようなもの。それを進化した球持ちが良くなった新BLADEに張っているのだから、ラオニッチのプレーがこれまで以上にレベルアップしたのもうなずける。特に回り込みフォアで、逆クロスだけでなくダウン・ザ・ラインへの精度が高くなっているのは、ラオニッチがトレーニングしたことも大きいだろうが、この新BLADEとM2 PROのコンビネーションがもたらした恩恵も一定量あるはずだ。錦織にとっては、手強いライバルとなり続けるに違いない。
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