1月中旬発売! 日本限定モデルとして話題になっている【BLADE V7.0】の100平方インチモデルである 『BLADE 100 V7.0』と『BLADE 100UL V7.0』。どんなパフォーマンスを発揮するのか? 編集部(広)と(川)が、2時間みっちり打ち込んだ結果をお伝えする。
※ラケットには、モノマルチ構造のナイロン・ストリング、ウイルソン「REACTION 16」を46ポンドで張っています
『スッと入れるな』というのが第一印象だ。
初めて使用する場合、自分がふだん使用しているラケット(ウイルソン製340gのアレです)とのギャップを感じるものだが、同じというわけでなく、探っていく感じがない。違和感がまったくなかったのがおもしろい。
数値的には、正に「黄金スペック」(100平方インチ、300g、バランスポイント32.0cmが基本、※中厚フレーム[諸説あるが25mm付近]も加えるケースも)。となると「柔らかい打球感でぶっ飛び系」というのを想像したが、『BLADE 100 V7.0』は、振った分より少し飛ぶというイメージ(X-LOOPテクノロジーは100平方インチのほうが相性がいいのでは?)。さらに、打球感は柔らかさが目立つのでなく、ソリッドさが残る。打っていて芯がある感じで私は好き。22mmフレーム厚だからこその飛び、打球感なのだろう。
スピンに関しては、98平方インチのラインナップより確実にかけやすい。振った分より飛ぶ、そしてスピンもかけやすいため、片手バックで苦しい時でもかなり助かる!
ラリーのあと、試合形式を行ったら、【このラケットが欲しくなった!!】 とにかくめちゃくちゃ打ちやすいのだ! ストロークはもちろんだが、特に自画自賛したいのがリターンだ。瞬時に対応するからこそ、ミスも生まれやすいのがリターンだが、フォアではアングル、ダウン・ザ・ラインに叩けるし、苦手なバックのリターンだって、“パン!”と攻撃的なリターンが打てる。間違いなく、これは実力ではない。確実に『BLADE 100 V7.0』のおかげ。振り抜きがいいから、プラスαのパワーを与えてくれて、スピンもかかる。
+2平方インチの分、ボールが捕らえやすい。22mm厚だけどX-LOOPテクノロジーがあるから、しっかり飛んでくれる。スライスの伸びもいい!
となると完全無欠に思えるが、個人的にもう一つと思ったのは、サーブで、スピンはよくかかるのだが、正直、もう少し飛びが欲しい。NXTシリーズなどナイロン・マルチのストリングを張ると、より良さが出そうな気がする。
これが今年最後の試打。自分が打った他社のラケットも含めて、2019年の最優秀ラケット(好み含む)は『BLADE 98(18×20) V7.0』だったが、今回それが変わった。 『BLADE 100 V7.0』が最も素晴らしいラケットである! 興奮して長く書いてしまいました...。
●BLADE 100 | 広 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | コメント | |||||
パワー・弾き | 4.0 | 振りに忠実。制御可能な飛び | ||||||||||
打球感・ホールド感 | 3.5 | 柔らかさの中に芯がある感じ | ||||||||||
スピン | 4.0 | 振り抜きが良く、実感よりかかる | ||||||||||
スイートエリアの広さ | 4.0 | 100平方インチの利点を感じられる | ||||||||||
操作性 | 4.5 | 300gとは思えない振り抜きの良さ | ||||||||||
バウンド後の威力 | 3.0 | 少し軽いのかな? と感じた | ||||||||||
サーブ | 2.5 | スピンは及第点。弾きがもう少し欲しい | ||||||||||
ストローク | 4.5 | 実力以上のボールが打てる | ||||||||||
ボレー | 4.0 | 素直さがあり、返しやすい |
スペックとしては、いわゆる「黄金スペック」。それゆえ、試打する前は『パワーがあるんだろうなぁ』と思っていた。
しかし!!!!!! 実際に打ってみて、とにかく印象的だったのは、パワーではなく“コントロール性”である! パワー性能が強すぎると、打球感やボヤけてしまい、ボールコントロールがしにくくなる印象があるが、このラケットはそこが違うのだ。
あえてパワーを抑えめにすることで、『BLADE V7.0』の縦しなりを生かしたスピンや、しっかりした打球感をプラス。ボールをしっかりツブすような強いスイングをしてもコントロール性が落ちない。本当によくできている。
それを生んでいるのが、22mmのフレーム厚なのだろう。薄すぎると弾き感が強すぎてしまい、厚すぎるとソリッドな打球感は生まれない。「BLADE」の味を残しつつ、進化したポイントを十分に感じられた。大会に出場するような競技志向が強いプレーヤーなら、その違いを感じ取れるはずだ。もしも、もっと柔らかい打球感を求めるというなら、「CLASH」のほうが合っていると思う。
今回の試打ラケットにはナイロンが張られていたが、アルパワーや4Gなどポリストリングをローテンション(40ポンド程度)で使ってもおもしろいはず。反発力の高いポリを使って、重いボールで相手を追い込むようなストロークが打てるはずだ。正直、僕が高校生だったころに、こんなラケットが欲しかった...。
●BLADE 100 | 川 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | コメント | |||||
パワー・弾き | 4.0 | パワーがありすぎないところがいい | ||||||||||
打球感・ホールド感 | 5.0 | 打感がぼやけず、ハッキリしている | ||||||||||
スピン | 4.0 | イメージどおりの弾道を出しやすい | ||||||||||
スイートエリアの広さ | 3.0 | 他の100平方インチより広く感じる | ||||||||||
操作性 | 3.0 | さすが黄金スペックという振りやすさ | ||||||||||
バウンド後の威力 | 4.0 | オムニコートでも伸びてくれる感じがした | ||||||||||
サーブ | 4.0 | ストリング次第で大きく変わりそう | ||||||||||
ストローク | 5.0 | コントロール性能が最高。言うことなし | ||||||||||
ボレー | 4.0 | 当てるだけで跳んでくれるから簡単 |
『BLADE 100 V7.0』は、幅広いプレーヤーが打てる。その間口をさらに広げたのが『BLADE 100 UL V7.0』だ。
今年打った中でNo.1と書いた『BLADE 100 V7.0』だが、いざ試合ということを考えると、いかにいい体勢でどれだけ打てるかがカギを握る。そういう意味で、オフバランスや、苦しい体勢の中で、質のいいボールが打てるラケットこそが実戦的と言える。『BLADE 100UL V7.0』は、そういうラケットだと思う。
基本的には『BLADE 100 V7.0』に近い打ち味で、ヘッドが走ってスピンがかかる。ぶっ飛び系ではなく、いいボールを返せるくらいの飛びでボールも伸びる(ただ1点、サーブは押すイメージのほうが良さそう)。 全体重量が軽く、Av.バランスが33.5cmでヘッドが利きやすいため、より苦しい状況で対応しやすいのが『BLADE 100UL V7.0』である。少しでもミスを減らし、苦しい状況で少しでも質のいいボールを返したい。それができるわけだ(20g重い『BLADE 100L V7.0』も参考にしたほうがいい)。
重さを考えても、女性や非力な方が...というかと思うだろうが(笑) 私は、パワフルな男性でもありだと思う。ヘッドが走るため、ポリストリングを張って叩いていく、操作性がいいから苦しい局面でも助かるし、ボレーを打つシーンでも助けてくれる。
ひと言で言えば、“勝てるラケット”。それが、『BLADE 100UL V7.0』というラケットである。
●BLADE 100UL | 広 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | コメント | |||||
パワー・弾き | 4.5 | 100より、パワーアシストが感じられる | ||||||||||
打球感・ホールド感 | 3.0 | もっちり感より、パンという感じ | ||||||||||
スピン | 4.0 | かかる! 少し前に振る方がよい | ||||||||||
スイートエリアの広さ | 4.0 | 2平方インチの違いが本当に大きい | ||||||||||
操作性 | 5.0 | すごく楽。ヘッドも走る! | ||||||||||
バウンド後の威力 | 3.0 | 軽いためか、少し失速するイメージ | ||||||||||
サーブ | 2.5 | ヘッドは走るが、もう少し重さが欲しい | ||||||||||
ストローク | 3.5 | 深いボールの処理がとても楽ちん | ||||||||||
ボレー | 4.5 | ダブルス派にはベストラケットかも!? |
第一印象は、“しっかりした”ラケットだ、ということだ。
インパクトの感覚・情報が、そのまま手に伝わってくるため、狙うエリアに対して、どれくらいの力加減で打てばよいかというのがわかりやすい。そのおかげでストロークの技術が上がったかのように感じ、打ち手としてはラリー戦が怖くならない!
加えて、フェイスサイズが「100平方インチ」であることもポイント。これまでの「BLADE 98」シリーズより、2平方インチ大きいので、プレーヤー心理からすると安心感がある。実際、ボールの飛びも上がった印象を受けた。
265gという扱いやすさがあるが、相手に打ち込まれるほどの軽いボールにもならないため、週1プレーヤーにはオススメしたい。
ただ、競技者には物足りなさが出てくるだろう。「試合に勝ちたい」という方にとってはボールの伸び、パワーを生み出せる「BLADE 100」のほうがオススメだ。
これまでの「BLADE」シリーズに対して、“難しい”“硬い”というイメージを持つ方も少なくないが、今シリーズではそれを払拭できるのでは!?
とはいえ、初心者にとって使いやすいラケットになったかというと、パワーや硬さに慣れていない分、“難しい...”と感じるかもしれない。自分のスイングができている人にとっては“やさしい”ラケットだ。
●BLADE 100UL | 川 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | コメント | |||||
パワー・弾き | 3.0 | しっかり振っていける人には十分の飛び | ||||||||||
打球感・ホールド感 | 3.0 | 少し硬め。食いつきはそれほど強くない | ||||||||||
スピン | 4.0 | しっかり振っていけるからスピンはかかる | ||||||||||
スイートエリアの広さ | 3.0 | BLADE(98インチ)を考えると、広く感じる | ||||||||||
操作性 | 5.0 | 265gなだけあって、振りやすい | ||||||||||
バウンド後の威力 | 3.5 | 思っていた以上に伸びてくれる | ||||||||||
サーブ | 4.0 | 回転はかけやすい | ||||||||||
ストローク | 4.0 | 軽量ラケットなのに打ち負けない | ||||||||||
ボレー | 3.0 | 体勢が崩れると、少し厳しい |