2014年の最終ランキングを5位で終えた錦織 圭。2012年が19位、2013年が17位と足踏みが続いていた状況から急成長を遂げたのは、「マイケル・チャンがコーチになったことが大きいと思います。マイケルに『もっと前に出ることを意識するように』と言われ続けてきて、自分のテニスがより攻撃的なスタイルに変わってきました」(錦織)のが大きな要因だ。錦織自身がそうした自分のプレースタイルの変化を確信したのは、今年の5月ATPマスターズ1000マドリード大会決勝戦でのこと。この試合、結局は錦織が股関節を痛めて途中リタイアとなってしまうのだが、第1セットを6-4と先取したことで「クレーでも、ナダル相手に攻めきれる」(錦織)と感じたのだ。
そうして「今年は昨年に比べ攻撃面での違いが格段に良くなったと思います」と言う錦織。自身のプレーがよりアグレッシブなものに進化したことで、「ラケットにも、もっとスピードが欲しい」(錦織)と考えるようになるのは当然で、ウイルソンに対し「さらに上で勝っていくために、これまで以上にフリーポイントが取れるラケットにしてほしい」とリクエスト。
そうしたことを受けて開発されたのがBURN 95で、錦織は2本のプロトタイプをテストした時点で2015年からこのBURNの使用の開始を決意したという。フェデラーが新しいPRO STAFF 97 RFまでに127本の試作品を試したことに比べると、『最初から錦織のこだわりに合ったラケットができた』と言えるだろう。
このBURN 95、ラケットのフェイス面の大きさ(95平方インチ)やウエイト(309g)、レングス(27.25インチ)などはこれまでの錦織モデルSTeam 95と同じで、変更になったのは使われている素材。現在、ウイルソンの素材としてはいちばん剛性が高い≪バサルトファイバー≫よりフレームの変形率が抑えられる新素材≪ハイパフォーマンスカーボンファイバー≫を使用しているのだ。このハイパフォーマンスカーボンファイバーは非常に剛性が高いため、フレーム全体に使用すると打球感が大きく変わってしまうのだが、BURNではフレームの内側だけに使用。
打球感はこれまでのSTeamと同じまま、インパクト時のフェイス面のゆがみを抑える効果がアップするため、打球スピードを上げることが可能になったのだ。
また使われているカラーは黒&ポップなオレンジで、オレンジは錦織が好きな色。さらにオレンジには『闘争心』というメッセージも込められている。それだけ、このラケットで戦う2015年シーズンへの意欲満点なのが錦織。一般プレーヤーも要チェックのラケットだ!
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