ラケットのスペック(長さ、ウエイト、バランスなど)の好みは、体格やプレースタイルによって変わるものだが、それでも『一般的な日本人が好むスペック』『アメリカ人が好むスペック』と大まかな捉え方をすることはできる。
そんな中、ウエイトとバランスポイントに絞ると、日本人はその両方の数字を足した合計が620になるスペックのラケットを好む傾向にある。どういうことかというと、ウエイトが300gのラケットであればバランスポイントが320mm、305gであれば315mm、295gであれば325mmのラケットを『スイングしやすい』と感じるのだ。基本的に、ラケット自体のウエイトが軽ければバランスポイントを上げることによりパワーが出しやすくなり、逆に、ウエイトが重ければバランスポイントを下げるとラケット操作性が高まるもの。それを踏まえて≪好み≫を考えた場合、ウエイトとバランスポイントを足した数字は、ある程度一定のものになるもので、『黄金スペック』と呼ばれるラケットはこの合計が620に近いものがほとんどだ。
それを錦織が愛用するBURN 95で考えると、ウエイトは309gでバランスポイントは325mmだから、合計634。一般的に好まれるものよりトップヘビーで、それを扱い切るからこそ錦織は体格のいい海外の選手に打ち負けないストロークが打てると言うことができるだろう。
そして、これがよりフェイス面が大きくなったBURN 100やBURN 100S(ストリングの目が18×16のスピンラケット)では、両方ともウエイトが303g、バランスポイントが330mmなので合計633。錦織のBURN 95ほどではないが、基準となる620よりはトップヘビーのスペック設計となっている。一般的にフェイス面95平方インチのシリーズの100平方インチモデルは、『95平方インチよりグッと扱いやすいラケット』というイメージを持ちがちなもの。だが、BURN 100やBURN 100Sに関しては、これは、『扱いやすい』というよりも、『振り切るにはプレーヤー自身のパワーが必要』なラケットで、『重いボールを打って相手にプレッシャーをかけていく競技タイプの選手向けラケット』と言うことができる。だからこそ、女子ではハレプ、男子ではグルビスがこのBURN 100を選んでいるのだ。 そして、このBURN 100もトップヘビーというスペックは、BURNシリーズが『戦闘力を高めるためのラケット』とも言い換えることができる。ウエイト自体は300gと一般的なスペックなので、「より競技志向のプレーがしたい」というこだわりプレーヤーに、是非手にしてほしいラケットなのだ。
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