錦織圭が10歳から18歳頃まで使っていたラケットのスペックは、「289g+バランスポイント34cm+95平方インチ」。つまり、彼はこのスペックのラケットで世界との戦い方を身につけ、今の自分のテニスを構築した。
いわゆる「ハンマー・ウェイト」のトップヘビーのバランスで、人によっては「飛び過ぎる」という声もあるスペックのモデルだ。
2001 HYPER HAMMER6.3 95 |
2002 HYPER HAMMER5.2 95 |
小学6年生の時に全国選抜ジュニアU12、全国小学生、全日本ジュニアU12で優勝し3冠達成。 |
『修造チャレンジ』に最年少で参加。 全日本ジュニアU14ダブルスで優勝。 |
2003〜2004 H TOUR 95 |
2005 N TOUR 95 |
アメリカ・フロリダ州のIMGアカデミーにテニス留学。 |
ウィンブルドン・ジュニアでGSジュニア初勝利。 USオープン・ジュニアではベスト16をマーク。 |
2006〜2007 N TOUR TWO 95 |
2008〜2009 K TOUR 95 |
全豪オープン・ジュニアでベスト8入り。 全仏オープン・ジュニアではダブルス優勝。 |
プロ転向後GS2戦目となるUSオープンで 当時4位のフェレールを下しベスト16入り。 |
だが、ロジャー・フェデラーのような選手ですら、「飛ぶ」ラケットを要求するのが今のトッププロの世界。もちろん、選手レベルで求められるコントロール性能は重要だが、その中でも最大のパワーがラケットには求められている。
そもそも、「ボールが飛ぶ」ということは、野球の投手で言えば、より速いストレートを投げられるということ。「コントロールをつけるために球速を落とす」のではなく、「速いボールをコントロールできるようになればいい」というのが「本物の選手」という人種の考え方。まして、体格面でアドバンテージがない日本人選手にとっては、相手のボールに打ち負けないパワーは絶対に必要であり、選手が使うモデルとしては、一見すると軽くてパワフルすぎるこのスペックのモデルで、錦織が自分の戦い方を見つけて行ったのは、むしろ自然なことだったと言った方がいい。逆に言えば、海外の体格の大きな選手たちが使っているようなスペックのモデルでは、自らハンデを背負うようなもの。レジャーとしてのテニスであればそれもまた選択肢であるのは確かだが、あくまでも試合で勝つという目的であれば、パワーのあるラケットを使いこなす、というのが自然な考え方で、錦織はそれで世界のトップ5で戦える自分のテニスを身につけたのだ。
そして、ウイルソンは、日本男子が世界と戦えるこのスペックのモデルを最新テクノロジーを盛り込んで再び登場させる。日本のジュニアが「世界との戦い方を見つけるための唯一のスペック」であり、一般プレーヤーが「どうしても打ち勝ちたいときに強力にバックアップしてくれるスペック」が満を持して復活する。その詳細は次号にて。
2010 TOUR BLX 95 |
2011 TOUR BLX 95 ORANGE |
全仏でジョコビッチ、ウィンブルドンでナダルと、GSという大舞台でトップ選手との戦いを経験。 |
デ杯日本チームの柱として全試合で勝利。 日本を27年ぶりとなるワールドグループ復帰へ導いた。 |
2012〜2013 STeam PRO 95 |
2014 STeam 95 |
新ラケットSTeam PROで臨んだ全豪オープンでG5初のベスト8入り。楽天ジャパンオープンでは地元初優勝を飾った。 |
2014年は初のトップ10入り、USオープン準優勝、そして年末ランキング5位と飛躍の年となった。 |
2015 BURN 95 |
全豪オープン・ベスト8、メンフィス優勝、アカプルコ準優勝と好成績を連発しランキングは過去最高の4位に。 |
プロ2年目頃より、ラケットに関するフィーリングがより磨き上げられ、繊細なリクエストによりカスタマイズされていく。 上記に紹介したモデルは、その錦織が求めた要素を踏まえ、一般市販用に改良されたモデルとなっている。