何度も見誤ったのが印象的だ。
通常、(川)とラケットを試打する際は、一通りのラリー以外に、試合形式も行っている。45歳の私、やはり負けたくないので、本気で挑むのだが、今回に限っては、球筋を何度も見誤った。(川)のパッシングに対して、「(高いから)アウ…」と右手を上げようとしたら“ストン”…ベースライン、サイドライン際にボールが落ちる。老眼が始まったからではない!
純しなりも縦しなりもすごいのに、ネジレに対しても強い「CLASH」と「スピン・エフェクト・テクノロジー」がミックスされると、こんなことになるのである。回転数自体は、わからないが、体感的には「BURN 100S CV」のスピンよりもキレがいいように感じる。スイング速度の速い人間なら、まっすぐ飛んでいき、ストンと落ちるトップスピン本来の軌道を描けるようだ。さて、私が使うとどうか。ボールスピードは出ているのに、飛球線の弧が大きくなっていることがわかる(=ドライブの軌道)。それでも、弧が高くなる分、ネットが少なくなり、バウンド後の威力もアップした感覚があるのだから、メリットは大きい。
とどのつまり、「CLASH 100S」はスピンがかかる。そして弾きも素晴らしい。
だからこそ、インパクトまではフラットに、そこからヘッドを振り上げるというプロのような打ち方にもチャレンジができる。普通に打っていれば、スピンはかかるのだから、よりスピードを高めるだけ。グンと伸びて、ストンと落ちる。この球筋はほかのラケットでは、中々味わえないものだと言いきれる。
第一印象は“柔らかい”ということ。
ストリング・パターンは18×16と粗く、かなりボールは食いつき、打感も柔らかい印象だ。かつストリングにはDUO FEEL(ルキシロンELEMENT 125、ウイルソンNXT 16)を使ったことで、さらに打感が柔らかくなった! ストリングのたわみが大きくなるため、ボールをしっかり飛ばすパワーもアップ。いつものスイングなのにボールスピードは明らかに上がった。もちろん“Sラケ(スピン・エフェクト・テクノロジー採用モデル)”最大の特徴であるスピン性能もバツグンだ。自らスピンをかけるようなスイングをしていない時でも最後に落ちてくれるので、ネットの2倍あたりの地点に打ち出してもある程度のスピードを維持しながらストンと落とせる。その安心感はSラケならでは。また100平方インチにもかかわらずすごくスイートスポットが広く感じ、「結構ハズしたな」と思ったときでも手に振動も少なかった。左右に振られた場面では、きっちり捕らえることが難しくなるため、このやさしさはユーザーにとってうれしい。
そしてボレーでは逆回転がかかり、伸びてくれるため相手にとって嫌なボールが打ちやすい。ボレーヤーにとってウィークポイントである体の正面への打球も面を合わせるだけでOK。簡単に打ち込ませない深いボールを楽に打てる。多くのプレーヤーが求める柔らかい打球感や飛び、安定性などを手に入れることができる傑出した1本!
打ち味の軽さ!
一打目で気づき、際立っているのはそこだ。それもそのはず、265gなのだから、打球感も軽くなる。ただ、これまで打ったウイルソンのULシリーズと比較すると、そこはCLASHらしさがしっかり出ている。
まず、スイートエリアの広さだ。そして、純しなりがスゴイのだがネジレにも強い、さらに縦しなりはテニス・ラケットの中で随一というもの。だから、打球感はソフト&ライトながら、“捕らえている感覚以上にボールが飛んでいく”。上がり鼻を捕らえなければいけないような時も、しっかり面だけ作れれば、ネットを越えてくれる。一方で、少し気になったのはボールの軌道で、勢いよく飛び出したボールが、相手を超えてから失速するように感じた。ただ、これに関しては、私の持ち球が影響している可能性が高い…(残念)。ただし、(川)の打球も「CLASH 100S」を打っている時よも、軽く感じたので、ボール自体の重みも軽くはなるようだ。
スピンに関しては、ストローク時もしっかりかかるように感じたが、軽量な分、押しこむような打ち方はしづらい。これが、サーブになると印象が変わる。厚い当たりでジョリっとボールを捕らえられ、キレのあるサーブが打てるのだ。CLASHシリーズは、総じてサーブがビックリするほどいいが、「CLASH 100UL」も同様なようだ。ちょっとサーブに自信がない、という方、これは試してみるべきだ。
“軽い=非力な人向け”と、我々も含めて誰もが紹介しがちだが、しっかり準備して、厚く捕らえると、質の良いボールも打てる。パワーはあるが、軽いラケットを求めている、そんな人も一度試してほしいのが「CLASH 100UL」である。
「CLASH 100UL」の優れているところは265gという軽さにもかかわらず“安定性”“しなり”の特性が「CLASH 100」のフラッグシップモデルと差が少ないこと。このラケットは競技者のように速くスイングできないプレーヤーが使用すると思うが、今回の試打ではゆっくりスイングしても十分なしなりを感じることができた。「フレーム重量が変わると、打ち味も変わってしまうのでは?」という心配も無用だ。
「CLASHを使ってみたいのにしっかりスイングできるラケットがない…」という人にとっては待望のラケットになるだろう。
さらに面ブレは少なく、コントロール性の高いショットを打つことができる。265gのラケットを使用することで操作性は一気にアップ。それがネットプレーで如実に現れた。ダブルス前衛にいる時にボディーショットを打たれた時や、逆を突かれた時にはすばやい対応が必要になり、このラケットならパワーに自信のない人でも操作しやすい!
まさにダブルスプレーヤーにぴったりの1本だろう。また、265gのラケットのため力負けする部分はあるため、競技向きではない。デカラケというわけではなく、ただ当てるだけでボールが飛ぶというわけではないため、丁寧なインパクトを心がけるべし!