今年新たに発売された『STEAMファミリー』と『JUICEファミリー』は、どちらもスピン&パワーラケットというカテゴリーモデルなのだが、これをさらに細かくして錦織 圭や伊藤竜馬が使う『STEAMファミリー』がバウンド後も失速しない『伸びのあるボール』=スピンボールを打ちやすいラケットというようにカテゴライズした時、男子ではロペス、女子ではアザレンカが使う『JUICEファミリー』は、そもそもの打ちだすパワーが大きいラケットというように区別することができる(ロペスとアザレンカはともに『JUICE 100』を使用)。
例えば、普通のラケットだと100の力でしか飛んで行かないボールも、『JUICEファミリー』を使えば110~120の力のあるボールとして飛び出していくため、相手が打つ頃には減速することを考慮に入れても、そもそものパワー(スピード)が大きいため、一般的なラケットで打つよりもパワーで相手にプレッシャーをかけることができるのだ。
そのパワーの源となっているのが、フレーム厚をスロート部分とフェース部分で微妙に変化させた『デュアル・テイパー・ビーム』テクノロジー。例えば、『JUICE PRO』はグリップに近いフレーム部が21.5mmで、フェース下部は24.5mm、フェース上部は22.0mm。『JUICE 100』はグリップに近いフレーム部が24.0mmで、フェース下部は26.5mm、フェース上部は24.0mm。この微妙なフレーム厚の差は、ラケットの“しなり”を抑制するためのもの。ラケットが“しなる”ということは、そのしなりによってインパクト時のパワーがロスしてしまうことにつながる。
また、しなるラケットだと、スイートスポットを外した時に面ブレを起こしやすく、それもまたボールを飛ばすパワーをロスする原因にもなっている。そうした“しなり”によるパワーロスを解消してくれるテクノロジーが『デュアル・テイパー・ビーム』なのだ。現在では他社ラケットにも見られる、なじみ深いこのテクノロジーも、世界初の採用はウイルソンによるものだ。
また、『JUICEファミリー』は打球感が心地よく、インパクト時の情報が適度に手に伝わって来るのも大きな特徴だ。これは今季ウイルソンが開発した「アンプリ・フィール・テクノロジー」が大きく貢献している。このテクノロジーにより、より爽快なフィーリングを 感じ取 りやすくなっいるので、手のひら感覚でのコントロールが可能だ。もちろんパワーがあるからスピンもかけやすく、最初は直線的に飛ばしベースライン付近でググッと落ちるエッグボールでガンガン攻めていきたいタイプのプレーヤーにとっては、一度使うと手放せなくなるほどお気に入りのラケットとなるはずだ。
JUICEファミリー <JUICE PRO>
- 価格: 34,650円
- フェース面積: 96平方インチ
フレーム長: 27.25インチ
フレーム厚: 22.0-24.5-21.5mm
平均フレーム重量: 324g
バランスポイント: 310mm
グリップサイズ: G2・G3
ストリングパターン: 16×20
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テニクラ編集部 徹底試打!! コメント <JUICE PRO>
チーフ高
振り抜き感がすごくいいラケット。どんどんスイングしていきたくなる。また、パワーがあり面安定性も高いので、オフセンターで打ってもしっ かりボールを捕まえる感じがあり、そこから自分のスイングで狙った方向に飛ばしていく修正力がある。スイートスポットで打った時は、思っている所から10 ㎝もズレないホールド感とタッチ感の良さがある。サーブでも球種を打ち分けやすかった。
ムラサン
108との比較で、こちらのほうがフレームに"厚み"のようなものを感じる。硬さの中心部に、柔らかな芯を包み込んだような感触があるのだ。そして、こちらのほうがラケット自体の"パワー感"もあるように感じた。その分、少しは使い手にフレンドリーな印象もあるが、スイートスポットを外した時のシビアさは108と同様で、プレーヤーのミスに対して寛大なラケットではない。
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JUICEファミリー <JUICE 100>
- 価格: 32,550円
- フェース面積: 100平方インチ
フレーム長: 27.0インチ
フレーム厚: 25.0-26.5-24.0mm
平均フレーム重量: 304g
バランスポイント: 320mm
グリップサイズ: G1・G2・G3
ストリングパターン: 16×18
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テニクラ編集部 徹底試打!! コメント <JUICE 100>
チーフ高
打球感がマイルドで、スイートスポットで打っても外しても心地いい打球感が手に残る。スイングするとナチュラルにスピンがかかり、ブロックするとコントロールよく狙った所に飛んでいってくれる。面を合わせるだけでローボレーではボールを持ち上げたり相手コート深くまで飛ばすことができ、高い打点のボレーは押し込むことができる。難しいボールも簡単に返せるので、自分がうまくなった気がする。
ゆうこリン
打球感がすごく良かった。一瞬でボ ールをつかんで離す感触は自分の好みの打球感で、とても心地よい。スピンもかかるが、フラット系に厚く当てていくほうが、より攻撃的な質の高いボールを打てる印象。「108」との相違点は、振り抜きが良 く、重いボールを狙いどおりにコントロールできたこと。スイングスピードの速い人が扱うと、このモデルのよさを最大限に引き出せると思う。
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JUICEファミリー <JUICE 108>
- 価格: 30,450円
- フェース面積: 108平方インチ
フレーム長: 27.25インチ
フレーム厚: 26.5-25.0mm
平均フレーム重量: 279g
バランスポイント: 335mm
グリップサイズ: G1・G2
ストリングパターン: 16×19
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テニクラ編集部 徹底試打!! コメント <JUICE 100>
ゆうこリン
「100」に比べてフェース面が8インチ大きいためか、面全体でサポートしてくれる感覚が強く、面のどの位置でインパクトしても心地よく打てるのはよかった。ボールの飛びはやや抑えられているが、フレームにパワーがあるのでフラット系に厚く当ててバシバシ振っていくと、想像以上にスピードの乗ったボールを打ち込めた。ボレーでも安定感があり、キレは格別! このモデルを使えば、うまくなった気分を存分に味わえると思う。
ムラサン
かなりシビアな1本だった。少しでもスイートスポットを外すと、まるでフレームショットのように感じてしまう。自分のようなブレの多いスイングでは、このラケットの良さを味わうことはとうてい無理。その代わり、稀にしっかりと真ん中で捕らえられた時の突き抜けるような打球感はとても気持ちよく、疑似体験的に「トッププロのショットというのはこういうものなのか!」と想像できた気分に。
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