「(PRO STAFF RF97 AUTOGRAPHの)パフォーマンスには、満足している」
9月、ついに発売となった新プロ・スタッフ、その開発前に、ロジャー・フェデラーがウイルソン側に伝えた言葉である。新たなモデルを開発するという時に、そぐわない言葉かもしれない。ただし、素直な気持ちでもあったのだろう。歴代プロ・スタッフ開発の際に感想や要望を伝えつづけてきたフェデラーにとって、さまざまな変革を加えた前作は"完璧に近い"モデルだった。そのままでいいものを、さらによくする。それは究極への作業だ。
"ゼロからラケット作りを考える"、そんなところからスタートした新プロ・スタッフ開発の中で、フェデラー、そしてウイルソンの想いが合致するポイントがあった。それこそ、アンコンタミネーティッドデザイン=何も汚染されていないデザインである。それはハデなデザインばかりが横行する現行ラケットのデザインへのアンチテーゼでもあった。
その中でフェデラーが伝えたのが「自信を持って最小限のデザインで最高のラケットを作ろう」ということ。ブラックでいこう、そんな話をしていく中で採用することになったのがフェデラーのタキシード姿からのインスピレーション。すでにしてテニス界だけのスターではないフェデラーは、誰よりもタキシードをまとう選手であり、誰よりもそれを着こなしている選手である。"それならば、タキシードデザインをラケットに落とし込んでみよう"、そうして生まれたのが「タキシード・スタイル」と表現されるデザインだ。
RF97オートグラフは、フェデラーのタキシードそのもの。(ブランドとしては押し出したい)ウイルソンのロゴでさえも、ブラックにブラックで入れて目立たないようにしている。それは「私(フェデラー)が使っているラケットはウイルソンであることはみんなが知っている」ということから来ている。そして、差し色に赤が入った97、97Sは"タキシード姿で、レッドカーペットの上を歩く"イメージからの落とし込みだ。
そればかりでなくRF97オートグラフのヘッドのトップには、スイスの国旗マークを施し、スロート部のPRO STAFFの文字が画期的なレーザー彫刻を用いているなど、見えづらいところまで、こだわった作りとなっているのが、今作なのである。
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