シューズのカカト部と前足の踏みつけ部との高低差を「ヒールドロップ」と呼ぶ。例えば、高低差が最も大きくつけられたものがハイヒールであるとすれば、高低差がゼロになるのが地下足袋とイメージすればいい。
スポーツシューズでも通常、ある程度の高低差が与えられる。これはカカト部を少し高めにした方が前方向への推進力がつけやすくなるからで、ランニングシューズなどはかなり高めの設計が与えられるモデルもある。
だが、高低差が大きくなれば当然、安定感が損なわれるバランスとなる。テニスは360度全ての方向にステップを踏み出す可能性がある競技特性があり、前方向に特化したランニングシューズと同じというわけには当然いかない。と言って、高低差をゼロにしてしまうと、確かに全方向への安定感は出せるが、ジャンプ時の着地の衝撃吸収は足裏や足首、あるいは膝で、また、ダッシュ時の推進力などは全て脚力で賄わなければならず、スポーツシューズに求められているサポート性やアシスト性が失われてしまう。
アウトドアシューズのトップブランドとして知られるフランスのサロモン社との共同開発でリリースされているのが「RUSH PRO」シリーズだが、この「RUSH PRO 2.0」が目指したのは「絶対的な安定感」。「SENSITIVE 3D-F.S.」を代表とするフォアフットのサポート性はもちろん、カカト部に内蔵された大型のヒールカウンター、中足部のPTCシャンクなど、全方位隙のないサポート機能でそれを支えるが、それら全てのベースとなっているのが、高低差6mmに設定された「ヒールドロップ」設計なのだ。
この6mmというのは、岩や窪みなどで足を取られやすいアウトドアを走り回るためのシューズと同じ設定。つまり、進みたい方向への推進力、着地時にも身体に負担をかけず、また全方向へのステップの安定感など全てを確保できるバランスがこの6mmのヒールドロップなのだ。
「絶対的安定感」。挑戦的なキャッチを裏付ける本物の性能。シューズは絶対に妥協しないトッププロたちが着用し、テニスを知り尽くしたブランドだから実現できた、安定感のあるフットワークを味わってほしい。
足に直接触れるインナーとシュータンを一体成型としたのが「エンドフィット」。フィット感を高め、履き心地を向上させることで、着用時の違和感をなくし、疲労軽減に。
フットワーク時にストップ&ダッシュの要となるフォアフットを集中的、立体的にサポートすることで、激しいストップ&ダッシュにおける動的安定性を確保。足の動きに敏感に反応する「SENSITIVE 3D-F.S.」はシームレス製法で「ブレのない、切れ味のいいフットワーク」を実現。
中足部のシャンクパーツは、足の自然な動きによるシューズのねじれは許容しながら、過度のねじれを抑えることで故障を防止するための機能。フォアフットのサポート力と、カカトのホールド性を連動させ、シューズ全体での機能性を高める。
土踏まず部分まで延長されたロングヒールカウンターが、足を後ろから包み込むようにサポート。カカト部の安定性を高めることで「急な動きを強いられても安心感の高いシューズ」に仕上げている。