絶対的なエースとして体調不良ながらも強行出場し、チェコのフェド杯2連覇に貢献したペトラ・クビトワ。
2012年最後の大会となるフェド杯で母国チェコを優勝に導いたのだからシーズンの終わり方としては気分のいいものとなったはずだが、クビトワ自身の個人成績を振り返ってみると最終ランキング8位という結果は、決して満足いくものではなかったはずだ。
身長182cmでサウスポーから放つ切れ味鋭いサーブとフォアが武器のクビトワは元々高いポテンシャルを持っていたことは、10年ウィンブルドンでベスト4に入ったことからも分かる。
しかし爆発力は高いものの、それが継続しないという理由で08年44位、09年62位、10年34位と今イチ中堅どころから抜け出せない選手だった。
それが11年、年頭のブリスベン大会で優勝すると、続く全豪オープンでベスト8に入り、2月のパリ大会で早くもシーズン2勝目を挙げ好調なスタート。
しかし、その後は5大会連続で1~2回戦負けが続き、『やはり出入りが激しいのがクビトワ』と見られていたが、4月のマドリード大会で優勝すると、続くプラハ大会は準優勝。
全仏オープンはベスト16だったが、芝シーズンに入りイーストボーン大会で準優勝すると、翌週からのウィンブルドンでとうとうグランドスラム初優勝を飾る。
これで『クビトワが完全に化けた』と思われたが、USオープンは1回戦負け。
しかし10月のリンツ大会でこの年5勝目を獲得すると、初出場となったランキング・トップ8人で争う最終戦でも優勝。
さらにフェド杯決勝でもシングルスで2勝し強豪ロシアを破ってチェコを88年以来の優勝に導いた。
年末ランキングを2位に急上昇させ、さらに年間最優秀選手に選ばれたのだから、クビトワ自身も12年にはランキングNo.1となり女王として君臨することを想像していたに違いない。
それを現実のものとするために、クビトワがまずとった行動がラケットをスイッチすること。
自分の武器であるスピードテニスをさらに強化するために、それまで愛用していたTOUR BLX 95からフェース面の大きいSTeam 100へと持ち変えたのだ。
TOUR BLX 95は錦織 圭も使っていたラケットであり、錦織はそこからフェース面が同じ95平方インチのSTeam PRO 95へとスイッチ。
それを考えると、クビトワはSTeam 95を使うのが流れなのだが、「パワーがほしい」という理由で5平方インチフェース面が大きいSTeam 100を選んだのだった。
しかし、終わってみれば12年の最終ランキングは8位。
これを受け、クビトワが使用ラケットの方向性についてウイルソンの開発陣に相談。
そしてウイルソンがクビトワに提案したのが『パワーを少し抑えめにして、フィーリングを向上させた』モデル。
フィーリングを向上させるには、フェデラーやドルゴポロフ、ディミトロフが愛用するPRO STAFFシリーズ、フィッシュ、ニエミネン、コールシュレイバーが使うSIX.ONEシリーズで既に採用されているアンプリフィール・テクノロジーを使うことで解決するのだが、問題はフェース面の大きさ。
満足する戦績が出なかったとはいえ、STeam 100のパワーに慣れたクビトワはフェース面積を95平方インチまで戻すことができず、色々とテストした結果、96平方インチがベストということになったのだ。
そうして新しく作られたのが、STeam96。
クビトワがこの新モデルを相棒に、来年、どんな活躍をしてくれるのか楽しみだが、同時に、上記のようなことで悩んでいる一般プレーヤーも多いはず。アンプリフィール・テクロルジーが採用された96平方インチのSTeam 96が、クビトワ同様、あなたのレベルを引き上げてくれるかもしれない。
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