テニスにおける醍醐味は、やはり『エースを奪う』ことにあると言っていいだろう。その爽快感と勝利を求めて選手はプレーするのだが、野球のようにホームランを打てばいいというわけではなく、ベースラインからベースラインまでの距離23.77mと限られた範囲にボールをバウンドさせなければならないのがテニスの難しいところ。相手に取られないためのスピードやパワーが必要なのだが、同時にスピンをかけることでボールをコントロールしていかなければならないのだ。
そして、これまで、スピードやパワーという点ではラケットの進化の恩恵を受け、一般プレーヤーでも快適にスピードボールを打つことができるようになってきた。しかし、スピンについてはパワーやスピードといった分野ほどラケットの進化による恩恵を受けていないのではないだろうか。確かに、ハンマーバランス(ラケットのヘッド部分にウエイトを置いた)のモデルはヘッドが返しやすい=スピンがかけやすいと言われてきたし、フレームを薄くすることでスイングスピードアップの効果を狙ったモデルもあった。しかし、それらはあくまで、<ラケット面を打点より下にセットし、そこからナナメ上に振り上げる>というスピンをかける技術がしっかりできている人をサポートするものであり、極端に言えば、スピンを打てない人は、そうしたラケットを使ってもスピンは打てないのだった。 しかし今回、ウイルソンから1月末に発売されるスティームSシリーズは、誰でもスピンがかけられるラケット。既にフェデラーや錦織が試打をして、そのスピンの威力に驚いたコメントをしている。
その秘密は、縦16本×横15本というストリングパターンにある。これまでラケットの進化はフレームに使う素材や搭載するテクノロジーによってもたらされてきたのだが、ウイルソンは"スピン性能を高めるために大切なのは、ストリングパターン"という結論を導き出したのだ。これは、ボールにスピン回転をかける一番大きな要素がストリングの"スナップバック"であることが研究の結果分かったため。インパクト時、ボールとストリングは約1000分の3秒接触するのだが、その際、まずボールが当たった時に一旦ストリングがズレ、次にそのズレたストリングが元に戻る。これは、ストリングには復元しようとする力があるためで、このストリングの"ズレ"と"戻り"の動作を合わせたものがスナップバックで、この動きが大きく、かつ戻るスピードが速いとスピン量も多くなることが分かったのだ。
>>「スピンのメカニズム」に関する詳しい情報(12.20更新号)
そこでウイルソンでは、どのようなストリングの組合せだと実際にスピンが打ちやすいのかを16×10、16×20、8×10、8×20など色々なパターンで検証した結果、ズレが大きく戻るスピードも速いのは、横糸(クロス)が縦糸(メイン)よりも少ない時ということが判明。そして、その[メイン>クロス]という法則を踏まえて調べた時、①コントロール性能を保つ、②面圧を保つ、③ストリングの消耗度を保つ、ためのベストの本数がメイン16本×クロス15本であるということが分かったのだ。
この16×15のストリングパターンは、16×18に比べ3.3倍のたわみ=ズレと、69%増のスナップバック・スピードがあり、それによりスピン回転量が10%アップ。このラケットを使うだけで、今までアウトしていたボールがベースラインに収まるようになり、さらにアングルに狙ってもボールがサイドアウトしにくくなるのだ。この技術(『スピンエフェクト』)を搭載したラケット、STeam 99 SとSTeam 105 Sこそ、正にプレーヤーの可能性を広げる新たなウエポンと言うことができるだろう。
上記はウイルソンのSTeamファミリーのターゲットユーザーマップだ。すでにスピンを掛ける技術を持ったプレーヤーには錦織が使用するSTeam PRO、内山靖崇が使用するSTeam 95、伊藤竜馬が使用するSTeam 100、そしてクヴィトワがスウィッチしたSTeam 96から、フェイスサイズ、ウエイト、バランスの違いで選ぶことをお勧めする。
そして、そうしたトッププレーヤーに並ぶスピンを手にしたいなら、スピンエフェクトを搭載したSTeam 99S、STeam 105Sをチョイスするのがベストだ。
ワンランク上のスピンを活かしたプレーが実現するだろう。
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