錦織が気に入ったクリアな打球感!

2011.11 :: 錦織が気に入ったクリアな打球感!「STEAM PRO」

錦織が気に入ったクリアな打球感!

錦織 圭がバーゼル大会準決勝でジョコビッチを破り、決勝でフェデラーと戦った模様は新聞やテレビのニュースで大きく取り上げられた。野球やサッカーなどのスポーツに比べるとテニスの話題がニュースになることが少ない日本で、ここまで大きく扱われるのはジョコビッチを破ったということと同時に(ジョコビッチは今季4敗目。他にフェデラー、マレー、デルポトロに敗れているが、マレー&デルポトロ戦は途中棄権)、錦織がそれだけ一般的に注目されている選手だからでもある。
一般的には「錦織という選手は、世界で通用する力を持っているんだな」と認識されることになったビッグニュースだが、テニスファンにとっては気になるニュースも隠されていた。そう、錦織の右手にはこれまで見たことのないコスメのラケットが握られていたのだ。実はこれ、来年発売される予定の『STEAM PRO』(スチーム プロ)という新ラケットなのだ。

錦織圭上海マスターズ1000大会でベスト4に進出した圭は、連戦の疲れから足首に疲労がたまったため2週間の休養をとっていたのだが、その時に来年1月から使用を開始する予定の新ラケット『STEAM PRO』を試打(発売は2月から)。最終段階のテストということで錦織の元に送られたのだが、試打した錦織から「すぐにでも用意して欲しい。バーゼルとパリはこれでいきたい」というリクエストが返ってきたのだ。そのためウイルソンが錦織のために急遽6本を用意。異例のスピードで世に出る結果となり、それが錦織の期待に沿ったものだったためバーゼルでの活躍につながったのだ。選手にとってラケットは一番大切なギア。普通はテストにテストを重ねようやくデビューというかたちをとるものだが、今回の錦織は突然のスイッチ。それで結果もついてきたのだから、本当に錦織が望んだものに仕上がっているのだろう。

この『STEAM PRO』、スペックは12月20日まで解禁されないため詳細は不明だが、以前のTOUR BLX 95よりフィーリングが良くなっているのが特徴だ。錦織は「ストリングに入れるステンシルマークを濃く描くとフィーリングが変わってしまうので、マークは薄くして下さい」とリクエストするほど打球感にこだわる選手。そのため、これまで使っていたTOUR BLX 95に対しても「スイートスポットをズラして打った時に、少し鈍いフィーリングがあるので、それを改善してほしい」とウイルソンに要望してきていた。それに応えるため、ウイルソンとしては既に発売されている『ONE』と『FIVE』にも採用されている『アンプリ・フィール・テクノロジー』(グリップ部に衝撃・振動をスムーズにするバサルト・ファイバーを入れた新機能)を採用したモデルと、フレーム全体に使用するバサルト・ファイバーの割合を増やすモデルを用意したのだが、錦織が選んだのが後者のバサルト・ファイバーの割合を増やしたモデル。こちらのほうが錦織にとっては『スイートスポットを外した時の打球感がクリアになった』と感じたようだ。

錦織が言う「スイートスポットを外して打った時」というのは、わざと外していることを言っているようだが、スイートスポットが外れてもクリアな打球感であることは一般プレーヤーにとってはすごく嬉しい性能。スペックの詳細が発表される12月20日はもちろん、実際に発売される来年2月が待ち遠しい。