フェデラーが<縦ナチュラル×横アル・パワー・ラフ>、錦織が<縦4G×横ナチュラル>といったように、現在、プロの世界ではストリングをハイブリット張りにするのが全盛だ。
しかも、縦横のどちらかがポリということも大きな特徴。
プロ選手は、1ポイント1ポイントに生活と名誉をかけて戦っているため、日頃から厳しいトレーニングをするのはもちろん、使う道具(ギア)についても厳しい目を持っているもの。
そのプロがハイブリッド張りをし、しかも縦横のどちらかにポリを選んでいるのには、それなりの理由があるはず。
そこで、ここでは、その理由を探っていきたいと思う。
まず、テニスの特性について押さえておくと、どんなに速いボールが打てても、それがコート内に収まらなければ失点となる。
そこで相手のコート内にボールを収めるために必要な技術が『スピン』。 スピンをコントロールし相手を崩すことのできる選手だけが、ゲーム展開を支配しトーナメントを勝ち上がっていくことができるのだ。
そして、そのスピンを生み出すのが、「スナップバック」。
インパクト時にボールと接触したストリングスは一旦ズレるのだが、一瞬のうちに戻ろうとする。
このストリングスの一連の動きスナップバックといい、その時間はわずか1000分の3秒。この瞬間的なスナップバックの動きがスピンを司っていると言っていい。
ここまでで、『スピンをかけるには、ラケットではなくストリングスのスナップバックが重要』であることが分かって頂けたと思うが、ここで疑問となるのが、多種多様なストリングスの中からどれを選べばいいのか、ということ。
そこで注目したいのが、最近のプロは、ハイブリッド張りにしろそうでないにしろ、ほとんどポリを使っているという事実。
先のフェデラーや錦織だけでなく、デルポトロとモンフィス、伊藤竜馬はアルパワー、ロペスはオリジナル、ドルゴポロフは4Gを愛用していて、女子ではアザレンカ、クビトワがアルパワー、セリーナ・ウイリアムズが4Gを使用している。
これは、ポリ・ストリングがナチュラルやシンセティックよりスナップバックの幅が大きく、さらに戻るスピードも速いから。それだけ強烈なスピンを打てることになる。
しかし、ここで新たに生まれる疑問が。なぜポリ×ポリという張り方でなく、ハイブリッド張りをするのか。それは、打球感や飛びを調整するためと言えるだろう。確かにポリだけで張るとスピンはかかるが、ナチュラルに比べるとポリには打球感が硬いというデメリットがある。フットワークの進化でラリーが続くようになった昨今、硬い打球感のまま何度もラリーをすると、体を鍛えている選手といえどもヒジや手首を痛めてしまうのだ。フェデラーや錦織がポリにナチュラルを組み合わせているのは、そうした微調整を加えるためのものなのだ。
では、錦織のようにポリを縦糸に使う場合と、フェデラーのようにポリを横糸に使う場合はどんな違いがあるのだろうか?
スピンという点から見ると、錦織のように縦にポリを張るほうがいい。ストロークではラケットを横向きにして使うため、スナップバックするストリングは縦糸。
その縦糸にポリを張ったほうが、当然スピンはかかりやすい。では、その縦糸のポリに対し、ハイブリッド張りをする場合、横糸は何を持ってくるべきなのか。
これも錦織のようにナチュラルを張れば打球感はマイルドになるのだろうが、ナチュラルは品質が高い代わりにコストが問題となる。
これはウイルソンが行った実験で分かっていることだが、縦にポリを張った場合、横糸はナチュラルでもNXTといったシンセティックでもスナップバックの量はほとんど変わらない。つまり、縦にポリを用いれば、横糸はどんなものでもスピン量が多いショットを打つことができるのだ。
これに対し、フェデラーのように横にポリ、縦にナチュラルという組合せは、スピン量は減るものの飛距離が出やすく、さらに打球感がマイルドになるというメリットがある。スピン量を意識すると言うよりも、ボールのタッチ感覚を重視し、ボレーなどでも使い勝手の良さが欲しいオールラウンドにプレーする人にオススメしたい組合せだ。
以上のように、組み合わせ次第で何通りにもなるハイブリッド張り。
色々試して、自分にベストマッチのパターンを見つけ出す楽しさがあるがと、それは同時に悩みにもなる。そこで、ある程度の義準として、ここでは4パターンを紹介したい。
(1)錦織 圭と同じ<縦4G×横ナチュラル>の組み合わせ
テンションロスを抑え、ポリとは思えない優しい打感を実現した4Gを生かした「4G×ナチュラル」の組み合わせ。錦織はこの4Gを使い始めた途端、昨年の全豪オープンでベスト8に入り、今年のマドリードではフェデラーに勝利するという大金星を挙げている。この組み合わせは、KEI’S CHOICE PREMIER IIとしてパッケージ販売されている。
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- 4G 125 / 130
- 単張2,625円 / REEL34,650円
- ゲージ: 1.25mm / 1.30mm
- 長さ: 単張12.2m / REEL200m
- タイプ: ポリ・エーテル・エーテル
- カラー: ゴールド
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- NATURAL 16 / 17
- 価格: 8,925円
- ゲージ: 1.30mm / 1.25mm
- 長さ: 12.2m
- タイプ: ナチュラル・ストリング
- カラー: ナチュラル
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- KEI'S CHOICE PREMIER Ⅱ
- 価格: 5,250円
- ゲージ:
ナチュラル=1.30mm/4G 125=1.25mm
- 長さ: 6.5m×2
- タイプ: ナチュラル/ポリ・エーテル・エーテル
- カラー: ナチュラル/ゴールド
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(2)<縦4G×横NXT 16>
プロのようにポリとナチュラルを組み合わせることが理想だが、ナチュラルはシンセティックに比べ2~3倍価格が高く、なかなか試すチャンスがないもの。
そこでオススメしたいのが「4G×NXT」だ。
NXTは高い伸縮性能を発揮するポリウレタンを用いたマルチフィラメント構造のストリングで、ナチュラルに非常に近い打感なのが特徴。縦にポリを張った場合、横糸は何を使ってもスナップバックにはあまり差が出ないということを考えれば、ナチュラルに比べると価格はお手頃で、ナチュラルに近いマイルドな打球感を味わうことができる。
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- 4G 125 / 130
- 単張2,625円 / REEL34,650円
- ゲージ: 1.25mm / 1.30mm
- 長さ: 単張12.2m / REEL200m
- タイプ: ポリ・エーテル・エーテル
- カラー: ゴールド
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- NXT 16
- 価格: 3,150円
- ゲージ: 1.28mm
- 長さ: 12.2m
- タイプ: マルチフィラメント・ストリング
- カラー: ナチュラル
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(3)<縦4G×横OCTANE>
毎日練習をする人や、学生にオススメなのが、この4G×OCTANEの組み合わせ。モノフィラメントの芯糸に剛性の高いナイロン素材(NEO X-BAND)を巻きつけたオクタンは、高い耐久性とテンション維持を実現したモデル。また、余計なボールの飛びを抑制できるため、4Gと組み合わせてガンガンハードヒットしていくことができる。「ストリングの切れが早い」というプレーヤーには、コストパフォーマンス的にも助かる組み合わせだ。
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- 4G 125 / 130
- 単張2,625円 / REEL34,650円
- ゲージ: 1.25mm / 1.30mm
- 長さ: 単張12.2m / REEL200m
- タイプ: ポリ・エーテル・エーテル
- カラー: ゴールド
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- OCTANE 16
- 価格: 単張1,785円 / REEL22,785円
- ゲージ: 1.30mm
- 長さ: 単張12.2m / REEL200m
- タイプ: モノ・フィラメント・ストリング
- カラー: ホワイト
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(4)<縦ナチュラル×横アル・パワー・ラフ>
フェデラーと同じ組み合わせ。02年まではナチュラルだけを使用していたフェデラーだが、横にアル・パワー・ラフを合わせることでコントロール性能がより向上した。アル・パワーが持つスピードとパワーに、ナチュラルのマイルド感がプラスされた打球感は、オールラウンドプレーヤーにオススメ。CHAMPION'S CHOICEとしてパッケージ販売されている。
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- NATURAL 16 / 17
- 価格: 8,925円
- ゲージ: 1.30mm/1.25mm
- 長さ: 12.2m
- タイプ: ナチュラル・ストリング
- カラー: ナチュラル
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- ALU POWER ROUGH 125
- 価格: 単張2,940円/REEL49,980円
- ゲージ: 1.25mm
長さ: 単張12.2m/REEL220m
タイプ: ポリ・エーテル・エーテル+アルミ・ファイバー
カラー: シルバー
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- CHAMPION'S CHOICE
- 価格: 5,775円
- ゲージ:
ナチュラル=1.30mm/アル・パワー・ラフ=1.25mm
- 長さ: 6.5m×2
- タイプ: ナチュラル/ポリ・エーテル・エーテル+アルミ・ファイバー
- カラー: ナチュラル/シルバー
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