ラケット同様、ストリングはプレーヤーのテニスを大きく変えることができる重要なギア。日進月歩の世界だけに、それを超える性能のストリングも生まれてくる。すでに意中のストリングを見つけている人も、自身のレベルアップのために、たまには新たなストリングをテストしてみるべきだろう。
現在、ストリング市場を見ると、最も人気があるのは「ポリエステル・ストリング(通称ポリ)」だろう。"切れにくい"、"コントロール性が高い"、"パワーがある""スピードが出る"...などポリには、さまざまなうたい文句のある商品がある。
その中で、一度試してほしいものがある。それがルキシロンの「SAVAGE BLACK<サベージ・ブラック>」である。"柔らかくて弾力性が高い。そして制振性にも優れているリキッド・クリスタライン・ポリマー(液晶ポリマー)を六角形に成形。パワーとスピン性能を持つ、ハードヒッター向けモデル"というのが、カタログの紹介文だ。硬さは、ハードとソフトの中間。パワーとコントロールを兼ね備えたバランスのいいクセのないポリである。
では、実際の打ち味はどうなのか? テニスプレーヤーの間で人気のA社のクロいポリとSAVAGEを、向 和彦氏&向 範氏(アポロ・コースト・テニスクラブ)と編集部(広)が試打してみた!!
SAVAGEは、とてもバランスがいいポリ・ストリングですね。まず感じたのは、軽快さです。柔らかくて、よくボールに引っかかる。A社のものも、打球感は柔らかいですし、スピンもかかります。ただ、SAVAGEのほうが、弾きがいいです。だから、特にボレーが打ちやすく感じました。頑張らなくても距離も出せるし、回転もかかりましたね。一方、A社のものは、速くスイングした時に、ボールが伸びます。ただ、それはいいポジションに入れた時の話。速く振れない時もあるわけですから、一般の人もSAVAGEのほうが使いやすいと思います。SAVAGEは、しっかり触れなくても、ボールが走る柔らかいポリなので、きっと女性プレーヤーでも打ちやすいと感じると思います。それくらい軽快な打球感がいいなと思うストリングです。
第一印象で感じたのは打球感のシャープさ。A社のものは、重い感じなのに対して「SAVAGE」はシャープ。反発がよくて飛んでいってくれるし、引っ掛かりもいいので回転もかかるなと感じました。どちらも柔らか目のポリですが、単純にいったらA社のほうが柔らかい。ただ、A社のポリはストリング全体がたわむ感じに対して、SAVAGEは、ボールの部分だけたわむイメージ。その分、生きたボールになって、跳ねあがる感じでした。反発性もいいので、SAVAGEはボレーもいいですね。 一般プレーヤーを考えた場合、A社のものは、重さを感じる分、対応が遅れると難しくなる。その点ではオールラウンドに打ちやすいSAVAGEはオススメしたいですね。より助けてくれるのがSAVAGE。単純に、私もこっちが好きです
高品質で価格も抑えられるリキッド・クリスタライン・ポリマーで多角形構造(SAVAGEは6角形)となっているSAVAGEとA社のクロいポリ。今回は「PRO STAFF 97」に48ポンドで両者を張って、試打を行いました。
まずはA社のものから。まずストリングに指を当てると、角張った感じがわかり、いかにも"スピンがかかりますよ"という感じです。実際、スイートエリアで捕えると"カン"という高い打球音と共に、高い弾道のスピンボールが飛んでいく。スライスも球乗りがまずまずでした。個人的に難しいな、と思ったのは、気持ちよく飛ぶレンジが狭く感じること。スイング速度がもっと速い、もっと捕らえる確率が高ければ問題ないが、そうでないとミスショットが増えるな、と正直思いました。一方の「SAVAGE」。単純に飛びはこちらが上。ボールを掴むような感覚があり、いい意味でポリっぽさがない感じです。スピン性能に関しては、甲乙つけがたいところ。ただ、スライスに関しては、SAVAGEのほうが伸びるなというのが個人的感想。こちらのほうが、打ちやすさのレンジが広いなと感じました。的確にボールを捕らえる自信があるなら問題ないですがが、私ならSAVAGEをチョイスします。できたら、40ポンド台前半で張って打ってみたいですね。テンションロスも、低いというだけに、単張\2,400(リール: オープン価格)はコスパも高いでしょう。いつもポリを張っているという人はもちろん、一度試してみたいという人もオススメしたいストリングです。
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