フォアやバック、サーブやボレーがある程度打てるようになり、試合に出る回数も増えるようになったジュニアや中級程度のプレーヤーは、エースを狙ったり相手にプレッシャーをかけていくためにも、自分の打つボールにスピードやスピンを加えるためのパワーが欲しくなるもの。またパワーがあれば、相手にいいショットを打たれても押し込まれることなく返球できる可能性が広がってくる。

そうしたパワーという点だけを考えるとポリエステル・ストリングは非常に優れている素材だ。しかし、打感が堅く、テンション維持率がよくない(時間経過とともに弾力性が失われやすい)という理由で、中学～高校生のジュニア、女性、初級～中級者には敬遠されがちだった。しかし、プロまでが手放さなくなったポリのパワーを、そうした層のプレーヤーが使えないのは非常に残念なこと。そこで、ルキシロンが目を付けたのが『リキッド・クリスタライン・ポリマー』という素材。これは、車のショックアブソーバーや光ファイバーなどに使用されているもので、弾力性がありポリエステルよりも柔らかく、さらに制振性が高いのが特徴だ。
そのリキッド・クリスタライン・ポリマーを使って作られたのが『アドレナリン』。このアドレナリン自体は昨年に発売されているのだが、それ以来、口コミで中学生～高校生のナイロンを卒業しパワーと耐久性を求めてポリに移行してきた層に"いいもの"として受け入れられるようになり、現在ではリピーターが増えてきている。ルキシロンのポリは、プロが愛用するアルパワーも当然パワーのあるストリングなのだが、一般のプレーヤーが感じるパワーは断然アドレナリンのほうが上。この違いは、パワーをどう捉えるかのニュアンスの違いとも言える。アルパワーは、ボールをつぶすくらいスイングスピードが速い選手が感じるパワーであり、筋力がまだ完成していない中学生～高校生にとってはそのパワーを引き出すことができない。その点、ボールの反発力という観点からはアルパワーよりも優れているアドレナリンは(アルパワーを100とすると、アドレナリンは75の力で同等のパワーを出すことができる)、筋力が発展途上のプレーヤーがポリのパワーとスピードを体感できるストリングと言うことができる。さらに制振性にも優れているため、成長期に気になるヒジへの負担も少ない。だからこそ、じわじわと愛用者が増え、同時にリピーターも増えているのだ。

さらに注目して欲しいのが、リキッド・クリスタライン・ポリマーはスピンが非常にかけやすい素材でもあること。スピンはインパクト時にズレたストリングが元に戻ろうとする力によってかかるのだが、リキッド・クリスタライン・ポリマーはスナップ力が強いため、一般的なポリよりも復元スピードが速いのだ。その速い復元速度により同じスイングスピードでもより強いスピンをかけることが可能に。また、このリキッド・クリスタライン・ポリマーを使って作られたアドレナリンは、1.10mmという極細ゲージから1.20mm、1.25mm、1.30mmとゲージが0.5mm刻みであり、他にマイルドさとスピン性をさらにアップさせた1.25ラフといったモデルまで揃えられている。ユーザーにとっては、自分に合ったものを選択できるのは、うれしい限り。ポリが気になっている筋力発展途上のジュニアは、いきなりプロも愛用するモデルにトライするのではなく、まずはこのアドレナリンを試してほしい。もちろん、女性や中級レベルのプレーヤーもアドレナリンを使えば、気持のいいスピード感のあるボール、しっかりスピンがかかったボールを打てるようになるはずだ。