ボールに『パワーとスピードを与えるストリング』として注目を集めているアル・パワー・シリーズ。そのアル・パワー・シリーズには、デルポトロ、クビトワ、伊藤竜馬などが使用する≪アル・パワー125≫と、フェデラー、ディミトロフが使用する≪アル・パワー・ラフ125≫、錦織 圭、カネピなどが愛用する≪アル・パワー・フローロ123≫の3モデルがある。同じ系列のアル・パワー・シリーズでも3モデルのストリングがあり、それぞれを一流プレーヤーが使っているという事実からは、『より自分に合ったものを使うと、パフォーマンスが上がる』ということが読み取れる。ここでは、この3モデルについて、その差異や特徴を詳しく紹介していく。
まず、≪アル・パワー125≫。このモデルは『ポリエステルにしては柔らかい打球感で、独特のパワーとスピードをボールに与えることができる』のが特徴だ。それを可能にしているのがポリ・エーテル・エーテル+アルミ・ファイバーの素材の組合せ。伊藤竜馬はその独特の打球感について「グワッとボールをつかむような柔らかい打球感で、ボールがパワーとスピードを持ったまま飛んで行ってくれる」と表現している。そのコメントからは、ボールをしっかり捕まえてから、自分の意志を乗せたボールをドライブ系のスピードショットで打っていく攻撃型プレーヤーに向いているモデルであることが分かる。事実、この≪アル・パワー125≫を使っているのは、デルポトロ、グルビス、ハンチュコワ、クビトワ、ギョルゲス、伊藤竜馬、内山靖崇。ボールのスピードとパワーで相手にプレッシャーをかけ続けるタイプの選手が好んで使っているのだ。
そして、『アル・パワーのパワーとスピードはそのままで、もう少しソフトな打球感のものが欲しい』という声に応えて登場したのが≪アル・パワー・ラフ125≫。このラフは、スペックではゲージが1.25mmとなっているが、詳しく説明すると1.23~1.27mmと場所によって凹凸が意図的につけてある。そしてこの凹凸が2つの理由で打球感を柔らかくすることに貢献している。まず、ボールが凸の出っ張っている部分に当たるとその部分がクッションとなり、いきなりストリング全体にボールが当たるのに比べ打球感が柔らかくなるのだ。そして2つ目は、1.25mm均一のものに比べて1.23~1.27mmと太い部分と細い部分を組み合わせたことで、同じ力で引っ張った時の伸縮性が高くなったこと。その伸縮性の高さがソフトな打球感につながっているのだ。こうしてストリングに凹凸を持たせることで打球感の柔らかさが実現したのだが、形状を工夫しただけで使用している素材は≪アル・パワー125≫とまったく同じのため、ストリングが持つパワーとスピードは変わらないままというのも注目の特徴だ。また、ストリング表面が凸凹のためボールへの食いつきが上がったこと、インパクト時に一旦ズレたストリングが元に戻りやすくなったことでスピン性能もアップ。特にラフとナチュラルガットをハイブリッドで張った時にマイルドな打球感とスピン性能が最大限に発揮されるのは、フェデラー、そしてディミトロフといったタッチ感覚を大切にしながらスピン回転で試合を組み立てるプレーヤーがそのハイブリッド張りを好んでいることが証明している。さらにラフは、一般プレーヤーでもリピーターが多いというのも特徴。プロと違い週に1〜2度しかテニスのできないプレーヤーにとっては、丁度いいソフトな打球感とボールの飛びであることがその理由だ。
最後に、ラフに比べさらに打球感がマイルドなのが≪アル・パワー・フローロ123≫。このモデルはフローロ・カーボンという素材をアル・パワーに加えたもので、形状を工夫したラフよりさらにマイルドな打球感を実現することが可能になった。フローロは釣り糸などに使われている素材だが、『引っ張られたときに伸びる。それでいて切れない強さがある』のが特徴。そのためボールとストリングが当たった時ボールを包み込むようにストリングがたわむため、マイルドなホールド感をプレーヤーは感じることができる。持ち前のスピン回転でコートを広く使った展開をしていきたい錦織 圭が愛用しているのも、打球感がマイルドで、それでいて包み込むようなインパクトがスピン量を調整するには適しているから。さらに、元々はアル・パワーがベースなので、パワーとスピードもあるシッョトが打てるというのも魅力の一つになっているのだ。
ALU POWER
アルパワー