300g+100平方インチで中厚のフレーム。いわゆる「黄金スペック」と呼ばれるモデルは、幅広い層のプレーヤーをカバーし、どんなプレーにも適応する万能モデルとして評価されている。
だが、その一方で万能さゆえの欠点というのもある。絶対的なパワーを求めるプレーヤーにはやはり非力さは否めないものであり、ネット際でのボレーの鋭さを求めるプレーヤーにはパワーを持て余してしまうという面が出てくる。 ULTRAシリーズはネット際で戦うプレーヤーのためのチューニングが与えられた「ネットプレーヤーのための黄金スペック」というコンセプトのモデルだ。
200キロのサービスでもベースライン上では100キロ以下にまで落ちると言われる。半分以下のスピードだ。それほどバウンドによる損失というのは大きい。リターンやストロークではバウンド後のボールを遠くに打ち返すショットで、ラケットのパワーはその状況を基準に語られることが多いが、ボレーは相手が打ってきたボールを飛行中に叩くショット。ボールの持つスピードやエネルギーはその分だけ大きく、ラケットに求められる「パワー」もサーブやストロークとは違ったものになる。
ULTRAシリーズはそこに着目し、勢いがあるボールに対しての対応力を上げ、ボレーのパンチ力やコントロール性を向上させた「ネットプレーヤーのための黄金スペックモデル」だ。
よりエネルギーをもった状態のボールに対してコントロール性を上げるには、面の安定性が重要。そこで採用されたのがフレームの断面形状を内側がオクタゴン(八角形)で、外側がラウンド形状という「ハーフ・オクタゴン・フレーム」。変形制御力に優れるオクタゴン形状と、振り抜きに優れるラウンド形状の特徴を併せ持たせることで、インパクト時の面安定性を高め、ボレーに必要な操作性を確保。より鋭く、そして正確なネットプレーを可能にした。
さらに、手に伝わる強い衝撃を緩和するため、フレームのグリップ部分にコンフォート・フォームと呼ばれる新開発ウレタン素材を標準装備した。フレームに直接装着されるタイプの緩衝素材のため、リプレースメントグリップやオーバーグリップテープの素材に関わらず、手に伝わる過度の衝撃を緩和し、とりわけボレー時のマイルドな打感を提供する。
ULTRA100は「ネットプレーヤーのための黄金スペック」をコンセプトとした万能モデルで、ストローク時にはやや飛びが抑えられた味付けになっているが、ボレーでは鋭いボールがコートに収まるチューニングとなっている。ストロークでもフラットに強烈なインパクトを作り、ダブルスの強豪としても知られるルーシー・サファロワが使用する予定の本格派だ。
ULTRA103Sは横糸が縦糸より少ないSラケ設計のため、ボレー時の回転の操作を重視したいプレーヤー向けのモデル。ULTRA 108はウェイトを下げ、より高い操作性と広いスイートスポットを求め、一層パワーのあるボレーを打ちたいプレーヤー向け。
「黄金スペック」の定義は一つではない。基準となるショットやプレースタイルが変われば、おのずとラケットに求める特性も変わっていく。ネットプレーを重視した万能のラケットを探しているのなら、このULTRAシリーズを選択肢から外すべきではない。
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