「コントロール性のよさ」というのはラケットにとっては大事な要素。ULTRAシリーズは、「ネットプレーで優位性を発揮する黄金スペック」を謳うモデル。ボレーが思った所にきっちり決まる、その理由を解き明かしていこう。
サービス、あるいはストロークで相手を崩し、最後のフィニッシュでボレーを決める。これは単複を問わずテニスのセオリーだが、最後のボレーが決まらなければ意味がない。
ボレーのコントロール時に求められる「球乗り感」も追求したからこその「ネットプレーで優位性を発揮する黄金スペック」なのだ。
グロメットに搭載されているのは、「ダブルホール」と「パラレルドリル」。「ダブルホール」はその名の通り、グロメットホールを大型化することで、ストリングの可動域を広げて、インパクト時にボールとストリングがより広い面積で接触できるようにするための機能。結果としてボールとの接触時間が伸び、ボールをつかむような感覚による高いコントロール性と、マイルドな打感となる。 「パラレルドリル」は「ダブルホール」の働きをより高める仕組みで、ラケットの編み目に対して垂直方向にストリングホールを開けることで、インパクト時のストリングのたわみの支点がフレーム外側になり、スペック上のサイズよりも1サイズ大きなフェイス面積のラケットのような広いスウィートエリアとパワーを実現する。
いずれも堅牢なフレーム特性との相乗効果で、より確実に ボールを捕らえるためのチューニングであり、中でもフラッグシップのULTRA100では、パラレルドリルがフレーム上部に8カ所、フレームサイドに14カ所配置(103では上10カ所、サイド11カ所、108は上10カ所、サイド14カ所となっている)され、スイートエリアの拡大効果が実感できるセッティングとなっている。しっかりとしたフレームが、大きく手を広げてボールを受け止めて弾き返す。そんな雰囲気の打球イメージと例えることができる。
そして、これらの特性はボレーではもちろんだが、ストロークでも特にコントロール性の向上として体感できるはずだ。ストローク時には(黄金スペックの中では)やや飛びが抑えられた味付けになっているため、コントロール良くコートに収まり、ボレーでは鋭いボールがコートに収まるチューニングとなっている。それがこのULTRAシリーズだ。ストロークでもしっかりとしたインパクトで責める、またダブルスの強豪としても知られるルーシー・サファロワが使用する本格派だ。
ULTRA103Sは横糸が縦糸より少ないSラケ設計のため、ボレー時の回転の操作を重視したいプレーヤー向けのモデル。ULTRA 108はウェイトを下げ、より高い操作性と広いスイートスポットを求め、一層パワーのあるボレーを打ちたいプレーヤー向け。
「黄金スペック」の定義は一つではない。基準となるショットやプレースタイルが変われば、おのずとラケットに求める特性も変わっていく。ネットプレーを重視した万能のラケットを探しているのなら、このULTRAシリーズを選択肢から外すべきではない。
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