ULTRAはいる。でおなじみだった、ULTRAシリーズが大きく進化。 フェイス面積100平方インチ、重量300g、バランス32.0cmは、言わずと知れた黄金スペック。実際、同スペックのラケットを愛用している人も少なくないだろう。しかし、その呼び名は今後「ULTRAスペック」と呼ぶべきかもしれない。
7月20日、ついにベールを脱いだ新「ULTRA」。それは、ウイルソンが"満を持して世に送り出す傑作"である。
最大の特徴は「面安定性の高さ」。その秘密の一つが、シャフトの形状にある。まずはフープの内側を多角形型であるHFST形状にすることで、安定性を生み出し、次にスロート部に新しいパワー・リブ・テクノロジーを採用している。
"リブ"とは、肋骨のこと。シャフト部内側上部にある突起物こそが、その正体だが、これが打球時に起きるスロートのブレを軽減してくれる。
類まれなる面安定性は、どんな場面に生きるのか? 基本的にはあらゆるプレーでプラスになるが、その利点を最も感じられるのは、ネットプレーだろう。基本的にはベースライン付近で打つストロークと異なり、ネットプレーでは相手との距離が約半分。その分、打球のパワー・スピードは高くなるわけだから、インパクトでラケットは弾かれやすくなるわけだ。しかし、安定性能に長けている"ULTRA"なら、どんなボールでもしっかり受け止め、その反力でボールを弾き飛ばすことができるのだ。そして、それはテニスのプレーにおいて最も速い打球を打ち返す、リターンでも同様だ。
そして今回の"ULTRA"には、さらなるポイントがある。それが、フェイスの6時部分に搭載されたニューデザイン・グロメットとその中に組み込まれた「クラッシュゾーン」パーツである。インパクト時、このクラッシュゾーンがつぶれることで、ダンピング(ストリング面のたわみ戻し)が大きくなる。これにより、わずか1000分の3秒と言われるボールとの接触時間が増加。ダンピングが大きくなることで威力あるボールが飛び、球持ちが長くなることでコントロールがアップする。
ブレなくボールを捕らえられて、コントロールもできる。ULTRAなら、より良いボールがコートに入る。とりわけ、ネットプレーで、その優位性を発揮できるというわけだ。
シリーズは、3モデル。"ウルトラスペック"の 「ULTRA 100CV」は、NASA公認の衝撃吸収テクノロジー、カウンターベイルを採用したモデルだ。そして「ULTRA 100L」は、プラチナスペックの277g、「ULTRA 100UL」は、さらに軽い257g。ネットプレーでは、ラケットの操作性がものを言う。この中から、合った重さをチョイスすることが、ULTRAの性能を引き出すことにつながるだろう。
また注目したいのは、ロジャー・フェデラーの要望でPRO STAFFシリーズに採用された最新コーティング「ベルベット・ペイント」シリーズすべてに施されている点。非常にしっとりとした手ざわりは、フィーリングも重要なネットプレーでプラスとなることだろう。
ウイルソンが細部にまでこだわった"ULTRAスペック"の逸品。実際に打てば、「ウルトラいいね。」というキャッチコピーがダテではないことがわかるだろう。
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