フレンチオープン プレビュー :: 男子はフェデラー&ベルッキ女子はクビトワ&ギョルゲスに注目!

2011.05 :: 男子はフェデラー&ベルッキ 女子はクビトワ&ギョルゲスに注目!

<R.フェデラー / ATP 5月9日付ランキング3位>

R.フェデラー 今年8月8日の誕生日で30歳を迎えるフェデラー。3月までのハードコートシーズンでは、優勝1回、準優勝1回、ベスト4が3回という成績。これが普通のトップクラスの選手であれば"上出来"の部類に入るのだが、フェデラーだと"そこそこ"の成績として評価されてしまうのは何年も王者の座にいたプレーヤーとして仕方ないところ。さらに4回の負けのうち、3回がジョコビッチで1回がナダル。ナダルにはこれまでも勝ったり負けたりが続いていたためそれほど気にしなくていいのかもしれないが、ジョコビッチには今年3戦全敗。心身ともに充実する年齢である23歳のジョコビッチに対し、フェデラーのオーラが薄くなってきたことを少しずつ感じられたのが、この3月末までのハードコートシーズンだった。

そしてクレーコート・シーズンが本格的に始まった4月。フェデラーは、モンテカルロ大会ベスト8(メルツァーに敗退)、マドリード大会ベスト4(ナダルに敗退)、ローマ大会ベスト16(ガスケに敗退)という戦績。元々クレーはあまり得意としていないが、これまでメルツァーには3戦全勝、ガスケには8勝1敗。この2人に負けたことは、フェデラー本人にとってもある程度のショックとなっただろう。しかし、フレンチオープンはクレーといっても他のコートに比べ球足が速いのが特徴。ローランギャロスでの優勝経験があり大舞台で強いフェデラーは、今季のこれまでの敗因をクリアにして万全の状態で本番に臨んでくるはずだ。


<T.ベルッキ / 5月9日付ATPランキング22位>
T.ベルッキ 身長188cmでサウスポーのベルッキ。テニスでは、長身だと高い打点からサーブやストロークを叩き込めるのでそれだけで有利なのだが、加えてサウスポーとなると相手は慣れが少ないのでさらにアドバンテージとなる。さらにベルッキは、左腕をムチのようにしならせるスイングのため、バウンドしてからのボールの伸びが強烈。そして現在、昨年7月にマークした自己最高ランキング21位に迫る22位をマークしており、調子もいい。
その調子のよさを見せつけたのが、5月初旬に行われたマドリート大会。 3回戦でマレー、準々決勝でベルディッチにストレートで勝利し、準決勝ではジョコビッチとフルセットに渡る接戦を繰り広げたのだ。

T.ベルッキこのジョコビッチ戦には負けたものの、そのジョコビッチは決勝でナダルにストレート勝ちしているのだから、どれだけベルッキがジョコビッチを苦しめたかがわかる。
このベルッキ、オーストラリアンオープン2回戦敗退後はすぐに南米のクレー大会を転戦し、サンチアゴ大会ベスト8、コスタドソウイペ大会ベスト8、アカプルコ大会ベスト4。そしてヨーロッパでのクレーシーズンに入るとエストリル大会ベスト8、マドリード大会ベスト4。南米ブラジルのクレーコート育ちだけにクレー大会を好んで回ってきたのだが、そのぶんだけクレーの戦いにアジャストしていると言える。過去のフレンチオープンは、昨年の4回戦進出が最高成績(ナダルに敗退)。今年はドローがよければさらに勝ち上がる可能性は大きく、本人はブラジルの先輩クエルテン以来となる優勝も狙っているはずだ。



<P.クビトワ / 5月9日付WTAランキング10位> 錦織 圭 フレンチオープンが迫ったこの時期、5月9日付のランキングで前週から8つもランキングを上げ、自身最高の10位をマークしたのがチェコのサウスポー、クビトワだ。ランキングを大きく上げたのはマドリード大会の3回戦でズボナレワ、準決勝で李、決勝でアザレンカに勝利して優勝したため。クビトワは今年、ハードコートのブリスベン大会、パリ大会でも優勝しているが(パリ大会決勝ではクリスターズに勝利)、クレーでも強いことを証明した。

身長183cmと恵まれた体型のクビトワの最大の武器は、パンチ力のあるストローク。男子並のパワーがあるため、それほど厳しいコースを狙わなくても相手からはチャンスボールが返ってくるため、それをオープンコートに決めればいい。錦織 圭そのパワフル・ストロークを武器に昨年のウィンブルドンでベスト4入りし一躍名を馳せたのだが、上位選手との戦い方を覚えた今年はハードでもクレーでも優勝できるまでに成長した。女子選手は男子と違い、強くなるときはコート・サーフェスに関係なく、すごい勢いでランキングを上げてくる特徴がある。このクビトワは、どうやらその流れに乗ったようだ。昨年は1回戦負けだったフレンチオープン。今年は、どんな快進撃を見せてくれるのか楽しみだ。



<J.ギョルゲス / 5月9日付WTAランキング20位> J.ギョルゲス 現在、女子のランキング1位はウォズニアッキ。グランドスラムでの優勝はないものの下位選手への取りこぼしが少なく、ステディなプレーをすることで女王の座を確保している。

そのウォズニアッキはクレーの初戦チャールストン大会で優勝したのだが、続くシュツットガルト大会(準優勝)、マドリード大会(ベスト16)と2大会連続で同じ相手に負けている。それが、ドイツのギョルゲスだ。

J.ギョルゲスしなやかなスイングからキレとスピードのあるショットを繰り出すギョルゲスは、ポジション取りもうまく、いつの間にかコート内に入り込んで速いタイミングで切り返していくことができるのが強み。

鉄壁のストローク力を誇るウォズニアッキに2連勝できたのもそのフットワークを使った戦術の賜物で、ヨーロッパのクレーでは他にサフィーナ、ストーサー、アザレンカにも勝利している。ドイツの女子選手というと、かつては女王グラフがいたが、その後はパッと名前が浮かんでくる選手はいない。ギョルゲスはテニスがうまいだけでなく美人プレーヤーでもあるから、これからは『ドイツの女子選手といえばギョルゲス』という時代が来るかもしれない。