ウィンブルドンで甦った「史上最強のテニスプレーヤー」ロジャー・フェデラー

2013.07 :: ウィンブルドンREPORT!

トップ10を見定めた錦織圭! ロブソン&グルビスは爆発の予感!「トップ10に定着することが目標です」(錦織圭)

全仏オープン4回戦でナダルに敗れた後、ドイツのハレに移動しウィンブルドンに向けての短い芝シーズンに入った錦織 圭。このハレでは第4シードが付き、1回戦はBYE。2回戦でユーズニーと対戦したのだが、フルセットで敗退してしまった。しかし、そのユーズニーは、その後コールシュレイバーやガスケを破って準優勝するなど調子が良かったこと(決勝でフェデラーに敗退)、錦織は全仏でわき腹に違和感を覚えていたことを考えると、ウィンブルドンまでの約2週間を休養と調整に当てることができたのは、かえって良かったのかもしれない。

錦織圭そして錦織としては過去最高の第12シードがついたウィンブルドン。1回戦で、エブデンを6-2、6-4、6-3のストレートで下し絶好のスタートを切った。エブデンとは昨年の全豪でも対戦しておりその時は2セットダウンからの逆転勝ちだったから、それ以降、錦織が着実に強くなっていることを改めて示した試合だった。そして2回戦でも、84位のマイエルにストレート勝ち。この2戦を錦織は「サーブが良くなっているのが安定した成績を出せるようになったカギだと思います。また、リターンで相手にプレッシャーをかけることができていて、ボールも深く入っているので主導権をとって相手にスキを与えないプレーができています」と振り返っている。コメントからは、調子の良さが伺えた。

だが、好事魔多し。実は、後で分かることなのだが、錦織はこの時点で、ヒザと足首に痛みを抱えていたのだ。それでも第23シードのセッピとの3回戦では、先にセットカウント2-1とアップ。錦織が常にストロークを左右に振って先に展開し、それにセッピが対応するという展開だったため、このまま錦織が振り切るものと思われた。しかし、試合中、腰に痛みが出てトレーナーを呼び治療を受けた錦織。本人は「腰の痛みのプレーへの影響は、ほとんどありませんでした。第4セット以降は、相手がベースラインから下がらず積極的にプレーしてきたのに対し、こちらは腰が浮き気味になりショットの精度が悪くなったのが敗因です」と2セットを連取され逆転負けした自己分析をしていたが、ショットの精度が悪くなったのはヒザと足首が痛く、ボールが滑る芝に対ししっかり低い姿勢を作れなかったのが原因だったのだ。

最近は、ナダルが左ひざのケガで全豪をスキップ、マレーが腰の故障で全仏を休場するなど体格のいい選手でもどこかに故障を抱えているもの。トップ同士の試合になるほど1ポイントをとるための動きが激しくなり、それだけ体への負担となる昨今の男子テニス。それを考えると、身長178cm、体重68kgの錦織がランキングを上げるにつれて、ケガや故障をするリスクも増えるのは仕方のないことなのかもしれない。だからこそ今後、錦織が「トップ10は一度入るだけではなく、しっかりその位置に定着することが目標です」と言葉にするトップ10を目指すには、出場大会数を絞って、出るからには上位進出するというツアーの回り方が必要になってくると思われる。

ロブソン&グルビスが、もうすぐブレークする予感
ロブソン男子は地元マレーが77年振りにイギリス人として優勝し幕を閉じたウィンブルドンだが、大会中盤(4回戦)までは女子も地元ロブソンが活躍したことで大いに盛り上がった。このロブソンの快進撃は、1回戦で第10シードのキリレンコを破ったのがキッカケだった。ロブソンは08年に14歳の時にウィンブルドン・ジュニアで優勝し一躍イギリス期待の女子となったが、プロとしてはこれまでウィンブルドンに4回出場し1回戦負けが3回、2回戦負けが1回とそれほど成績を残せていなかった。これに対しキリレンコは全仏でベスト8に入ったことで初のランキング・トップ10入り。勢いはキリレンコにあったが、ロブソンがサウスポーから繰り出すパンチ力のあるストロークを連続して打ち込みキリレンコを圧倒。ロブソンは昨年のUSオープンでもクリスターズ、李 娜とトップ選手を連破しているが、当たればそうした実力も経験もある相手にも勝てるポテンシャルがあることをこのウィンブルドンでも改めて証明して見せた。その後、2回戦でドゥクエ・マリノ、3回戦でエラコビッチを破り4回戦でカネピと対戦したロブソン。パワーヒッターのカネピは危険な相手だが展開力ではロブソンが優っているため、ここでも勝ち次のリシツキ戦が楽しみという感じだった。それが、この日はカネピが爆発。6(6)-7、5-7で敗れロブソンの快進撃は終了した。しかし、これで昨年のUSに続きグランドスラム2度目のベスト16。こうして少しずつ経験を重ねていけば、力はあるだけにこれからどんどん思い切りのいいプレーで女子テニス界を盛り上げてくれるに違いない。

グルビスそして、このロブソン同様、低迷していたが爆発する予感をさせるのが、グルビスだ。今年年頭のランキングは138位だったが、3月のデルレイビーチで優勝、マスターズ1000のインディアンウェルズとローマでベスト16に入るなどし、ウィンブルドン前までにランキングを39位まで戻していた。

このウィンブルドンでは1回戦でロジャー・バセリン、2回戦で第6シードのツォンガに勝ち(ツォンガの途中棄権)、08年全仏でベスト8に入った時以来のグランドスラム3回戦進出。その3回戦も4月のバルセロナ2回戦で勝っているベルダスコが相手だったため、さらなる勝ち上がりも期待できたが、ベルダスコのサーブとストロークが力強く2-6、4-6、4-6で負けてしまった。しかし、体全体のバネを使って打ち下ろすサーブは速くて重く、大きく左手を上げてタメを作ってから打ち込むフォアは一発でエースを奪える魅力がある。あとは、気持ちのアップダウンを抑えることができれば11年2月にマークした最高ランキング21位以上に行くのは難しいことではないはず。USオープンに向けて、ハードコートシーズン序盤で爆発できるかがそのカギを握るだろう。