"スナップバック"というスピンをかけるための本質に注目し開発されたのがウイルソンのSTeam Sシリーズ2モデル。そのスピンは評判通り強烈で、一度手にすると確かにスピンがかかり、急激に落ちてバウンドしたあとは勢いよく跳ね上がるエッグボールを打つことができる。
しかし、これまでにない16×15のストリングパターンのラケットのため、「いつもと違う」という感覚に戸惑うのも無理もないところ。だが、その感覚こそスピンに必要なもの。ここでは、これまで試打した方の声を紹介し、なぜそうしたインプレになるのかを解説する。理由を知ればSTeam Sをトライしてみたくなるはずだ。
インパクト時の音は、自分がどんな風にボールを捕らえているかの情報を伝えてくれるだけでなく、その音により気持ちが乗りプレーにリズム感が出てくるもの。これまでのラケットでは、"バン"や"ドン"といった擬音語がそれに当てはまっていた。しかしSTeam Sで打つと"カリッ"という音が聞こえる。これこそが、インパクト時にズレたストリングが一瞬のうちに元の位置に戻る時に奏でる音。スナップバックを使いボールにスピンをかけている証拠なのである。確かに最初は違和感があるかもしれないが、慣れてくると同じ"カリッ"という音でもスピン量によって違いがあることが分かり、攻守の状況によってスピン量を調整する楽しさとその効果を徐々に実感できるようになるはずだ。
ボールが飛ぶのは、ストリングパターンが16×15のため一般的なラケットよりも面圧が低いから。それ故、後ろから前に押し出すようなスイングをすると、確かにボールは簡単に飛んでいきアウトとなってしまう。しかし冷静に考えてみると、テニスにおいてボールが飛ぶというのは悪いことではない。むしろ良いことと言える。というのも、逆にボールが飛ばないと飛ばすことに意識がいき、その結果ムリなフォームになりがちだから。それよりも楽にボールが飛ばせる状況が前提としてあり、あとはスピンをかけることでコート内に収めていくということのほうが上達するためのアプローチとしては正しいのだ。
その時にポイントとなるのが、あくまで"スピンをかけてボールの飛びを調整する"こと。決して、スイングの速さや大きさを調整するのではない。というのも、スイングで調整すると緊張した場面ではその誤差が大きくなり、実戦的ではないため。それよりも、しっかりとスイングをしつつ、ボールにどれだけのスピン回転やスライス回転をかけるかで飛びを調整するほうがいいのだ。その点STeam Sは、思い切り振り切るほどスナップバック効果でボールにスピン回転やスライス回転がかかるラケット。ラケットを振る楽しみを味わいつつ、テニスも上達できてしまうのがSTeam Sなのだ。
この打球感が柔らかいというインプレも、原因は16×15のストリングパターン。ストリングの目が一般的なラケットより粗いので、同じテンションで張った場合、面圧が低くなり、その結果ホールド感が高まっているのだ。これまでのパンと弾いたりドンと打ち込んだりする感覚とは異なるための違和感だが、この"ホールド感=持ち"こそがスピンやスライス回転、そしてコントロールアップに効果を発揮している。例えば、回り込みフォアで逆クロスとダウン・ザ・ラインに打ち分ける時など、一瞬だがショットの成否を決める感覚はこの"持ち"が大切になってくる。相手を惑わし、自分には"間"を与えてくれると理解すれば、あなたの戦術次第で大きな武器となるはずだ。
>> ウイルソンのスピン性能向上ラケットの開発は1995年から行われていた!(2013.5.20更新号)
>>「STeam S+4G」によるスピン性能に関する詳しい情報(2013.4.20更新号)
>>「Sシリーズ」が持つ高い「スピン&スピード&飛び」性能に関する詳しい情報(2013.2.20更新号)
>>「 STeam 99S / STeam 105S」に関する詳しい情報(2013.1.20更新号)
|
|